丸谷マナブ × ArmySlickが語りあう、音楽作家としての“流儀” 「定期的に自分の耳に客観性を持たせるようにしている」

丸谷マナブ × ArmySlick対談

 気鋭の音楽クリエイターたちが、その志を共にする人たちのスタジオを訪れ、機材や制作手法などについて訊いていく連載企画「Studio Bump presented by SMP」がスタートする。

 第一回は、AKB48(「永遠プレッシャー」「ハート・エレキ」「ラブラドール・レトリバー」など)、Little Glee Monster(「好きだ。」「世界はあなたに笑いかけている」)、大原櫻子(「I am I」「Shine On Me」など)、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE(「HAPPY」)、KAT-TUN(「UNLOCK」)など数多くのヒット曲を手がけてきたクリエイター・丸谷マナブがホスト役となり、AAAやE-girls、乃木坂46、MAMAMOO、Liella!などに楽曲提供を行なっているArmySlickのスタジオを訪問。

 丸谷が「一度話してみたかった相手」として指名したArmySlickのルーツや、ヘビロテしている機材・プラグインとは。丸谷の制作手法との共通点や違いなどと比較しながら、音楽づくりの奥深さを味わっていただければ幸甚だ。

互いの印象は「ベースの人」「メロディーや質感が洗練されてる」

丸谷マナブとArmySlick
丸谷マナブ(左)とArmySlick(右)

ーー今回は丸谷さんからArmySlickさんをご指名しましたが、元々お知り合いではあったんですよね?

ArmySlick:お会いするのは6~7年振りですよね。

丸谷:よく名前はお見掛けしていますけどね。大原櫻子さんのアルバムでご一緒することもありました。

――お互いの音楽クリエイターとしての第一印象は?

丸谷:エイベックス周辺のアーティストをよく担当されている“イケイケトラックメイカー”というイメージでした。E-girls「Follow Me」の印象が強かったのかもしれません。あと、「ベースの人なんだろうな」というのは楽曲を聴いて感じていたところでした。

――ベースラインの作り方に個性を感じたということですか?

丸谷:トラック全体の印象として、ですかね。

――ArmySlickさんはどうですか。

ArmySlick:幅広く色んなポップスを作れる方、と思っていました。僕が最初にお会いしたときはAKB48も三代目 J SOUL BROTHERSも手がけていて、聴いた印象がどれもすごいポップなのに、メロディーや質感が音楽的に洗練されててオシャレだと感じたんです。

――ArmySlickさんはクラブ~ハウスミュージックが好きで、トラックメイカーとして海外レーベルでのデビューからキャリアをスタートさせていますよね。そこから日本に活動拠点を移して音楽作家としてやっていくにあたり、J-⁠POPを改めてインストールしたような感覚だったのでしょうか。それともルーツにJ-POPがあったり……?

ArmySlick:中学生のときから洋楽しか聴いてなかったので、J-⁠POPとガッツリ触れ合ったのは大学生のころなんです。先輩が上野圭市さんのアシスタントをやっていて、その後任となったのがきっかけでした。J-POPとはこれまで距離をとっていたのですが、Mixを現地で聴いて「これはすごい! 一流の音楽だし、超かっこいい!」と感銘を受けて。20代はハウスミュージックに傾倒して、一度就職もしたんですが「音楽で飯を食いたい」と思って会社を辞めて。そこからJ-⁠POPへ本格的に挑戦してみよう、と切り替えたところから、作家としてのキャリアはスタートしています。

――いまのお話を伺って、すごく自分の中で繋がった感じがします。というのもArmySlickさんの曲はJ-⁠POPの中でもエイベックス感ーーとりわけ、ご自身で手がけられたE-girlsやAAAよりも源流に近いものがあるなと感じていたので。

ArmySlick:たまにMAXを思い出して聴いたりしますからね。MAXの曲って、フレーズが俺の手癖に似てるなと思うんですけど、よく考えたら俺の手癖じゃなくて上野さんの手癖を聴きすぎて俺が無意識に寄っちゃってるんですよね。最近そのことに気づきました(笑)。

丸谷:ArmySlickさんの代表曲はなんですかと聞かれたら、どの曲と答えます?

ArmySlick:認知度的に言えばE-girlsの「Follow Me」になるかな。

――最近で言うとご自身の中で転機となった瞬間やワークスはありますか?

ArmySlick:ここ5年ぐらいはアニメや声優さんのお仕事ですかね。楠田亜衣奈さんの楽曲に携わらせていただいてから、ぐっと広がりました。

――アニソンはJ-⁠POPといい意味でルールが違っていて、好き放題やれるボーダーラインも違うと思います。

ArmySlick:そうですね。良しとしてるものが全然違うので、最初は手探りで。「そこが響いてるんだ」という部分はリアクションで学びました。

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