『Weekly Virtual News』(2022年10月11日号)
韓国のバーチャルアイドルサバイバル番組と、日本のバーチャルモデルへの権利譲渡――バーチャルな活動者に新たなカタチの萌芽あり
企業所属VTuberは、デビュー後でもその存在は意外に不安定だ。企業側がアバターやキャラクターの権利を保有している場合、タレント本人では自分自身の「身体」の処遇をコントロールできない可能性が高い。たとえば活動を終了するとき。たとえば所属事務所が解散するとき。様々な場面で、「存在の消滅」がチラつく。
こうした業界事情に、「PROJECT SIGN」というバーチャルモデルプロジェクトが一歩踏み込んだ。現在所属している4名のメンバーに、自身のキャラクター権利などが譲渡されたのである。今後は自分で衣装変更や改修を行いやすくなり、より主体的な活動が行えるようになるとのことだ。
現所属メンバーのみならず、新たにオーディションで募集するメンバーについても、活動期間が1年を経過した段階で同様にキャラクターの権利譲渡が行われると発表されている。権利譲渡の仔細次第だが、オーディション合格の条件付き特典として、自身の身体を権利ごと手に入れられるということであれば、国内VTuber業界においてかなり画期的な事例だ。
「身体」の処遇などをめぐるトラブルは、VTuber業界では古くから枚挙にいとまがない。「PROJECT SIGN」が実施した権利フリー化は、「身体」をVTuber本人に与えることで、起こり得るトラブルをある程度防止できる可能性がある。
なにより「身体」の自己決定権は、いまや『TikTok』や『VRChat』、そしてリアルすら活動範囲となり得るVTuber業界にとって、大きな機動力となるだろう。「一人一アバター」も夢見られるメタバース時代の到来も見据えると、次なる業界のスタンダードとなってもよいかもしれない。
VTuber――もとい「バーチャルな活動者」の文化・業界に、新しいカタチが吹き込んでくる予感を感じた一週間だったと言えるだろう。
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