山善が提案する「猛暑対策インフラ」 水冷服からアイススラリー対応冷凍庫まで

山善は、2026年度に向けた猛暑対策製品群を発表した。2025年の記録的な猛暑や、職場での熱中症対策義務化を背景に、同社は従来の単品製品による対策に加え、現場全体の環境改善を意識した提案を強化していく。
同社の熱中症対策関連製品の2025年度売上高は前年比34%増となり、過去最高を更新した。建設や物流、製造業の現場では、暑熱対策の充実度が職場選びの要素のひとつになりつつあり、冷却機器の重要性も高まっているという。
山善の新型水冷服は「面で冷やす」 2026年向け暑熱対策製品を発表

今回発表した製品のうち、水冷服の新モデルとして今年5月より投入しているのが『DIRECT COOL ProPLUS 水路式』だ。
従来の水冷服は、シリコンチューブを内側に張り巡らせ、その中を冷水が循環する構造が一般的だった。しかし、冷却できるのはチューブが接触する部分に限られるため、冷却範囲に制約があった。

新モデルでは、背面にシート状の「水路」を配置する構造を採用。広い面積で熱を吸収することで、冷却効率の向上を図った。冷却シートには通気用の穴を設け、長時間着用時の蒸れを軽減。また、表面には吸水性の高い素材を使用し、結露による不快感も抑えている。
本体重量は約845g。電源には5V 2.0〜2.4A対応のモバイルバッテリーを使用する。胸囲80〜130cmに対応するフリーサイズ(S〜5L相当)に加え、体重130kgクラスまで対応するビッグサイズも用意する。
あわせて現場からの要望を反映した拡張パーツも展開する。ヘルメット内の蒸れ対策として頭頂部を冷却するヘッドアタッチメントや、血管が集中する首元を冷やすネックアタッチメントを用意。特に建設現場では、身体よりも頭部を冷やしたいという声が多く寄せられていたという。

一方、電源を必要としない冷却ウェアとして投入するのが『Mizu fit』だ。水の気化熱を利用して体温を下げるベストで、一般的な冷却ベストに多い中綿構造を採用していない。
中綿がないため、使用後はファスナーを開けて逆さにするだけで排水できる。乾燥時間も短く、生乾き臭やカビの発生を抑えやすい。日常的な洗浄や乾燥が求められる作業現場において、メンテナンス性の高さも特徴のひとつとなっている。

また、ファン付きウェアとの併用も想定している。インナーとして着用し、風によって水分の蒸発を促すことで冷却効果を高める仕組みだ。約300mlの給水で使用できるため、高所作業や電源確保が難しい現場でも活用しやすいとしている。

今回のラインアップの中でも特徴的な製品が、業務用冷凍庫『コールドマジック』だ。
本製品は、ペットボトル飲料を一晩冷却することで、シャーベット状の「アイススラリー(飲める氷)」を作れる業務用冷凍庫だ。


簡単に説明すると液体と氷の中間状態であるアイススラリーは、飲みやすさと高い冷却性能を両立しており、近年はスポーツや作業現場などで深部体温の上昇抑制を目的に活用が広がっている。
庫内容量は93Lで、500mlペットボトルを最大55本収納可能。運転モードは「冷凍」「冷蔵」「飲める氷」の3種類を搭載し、これらを1台に集約した製品は業界初だという。
アイススラリーモードは、−3℃〜−8℃を0.5℃単位で調整できるモードAと、−9℃〜−15℃に対応するモードBを用意。飲料の種類や用途、環境温度に応じて冷却状態を調整できる。
暑熱対策用途に加え、通常の冷蔵・冷凍庫としても使用できるため、年間を通じた活用を想定している。
作業空間そのものを冷やす製品群も登場 緊急対応もカバー

個人向けの装着型製品に加え、作業空間全体の暑熱対策を目的とした製品も投入する。
「熱中対策シェルター」は、アウトドア用テントとスポットクーラーを組み合わせた移動式休憩スペースだ。屋外モデルには遮光率99.99%のブラックコーティング生地を採用し、日射を抑えながら内部へ冷気を送り込む。
サイズは120cmモデルと180cmモデルを用意。180cmモデルではスポットクーラーを2台接続でき、4〜6人が利用できる休憩スペースを構築できる。
シェルターにはスポットクーラー用ダクトの接続口を標準装備しており、条件が合えば他社製スポットクーラーも接続可能。設営に工具は不要で、収納時はキャリーバッグに収まるサイズまでコンパクトにできる。


さらに、熱中症発生時の初動対応を想定した「エマージェンシープール」も投入する。
これは、水を張ったプール内で対象者の体表を急速冷却するための簡易設備だ。設営時間は約30秒で、工具を使わず展開できる。対応身長は140〜175cmだが、175cmを超える場合でも膝を曲げて上半身を優先的に冷却できる設計となっている。

10L水タンク7袋のほか、温度計やエアー枕も付属。水源の確保が難しい現場での利用も想定している。本体側面には図解入りの使用手順を印刷し、緊急時でも迅速に展開できるよう配慮した。
今回の発表では、個人向けの冷却ウェアから作業空間向け設備、さらには緊急時の冷却機材まで幅広い製品をそろえた。山善は猛暑の長期化や熱中症対策への関心の高まりを背景に、現場環境の改善を支援する製品提案を強化していく考えだ。





















