ChatGPT、Gemini、Claude、Grok……今更聞けない主要AIサービスの“性格”と使い分け

ChatGPT、Gemini、Claude、Grok。
生成AIに関心がある人なら、一度は名前を聞いたことがあるはずだ。それだけでなく、使ったことのあるサービスの名前もきっと含まれているだろう。
だが、いざ使い分けようとすると、意外と難しい。ここで挙げた例に限らず、世の中にはさまざまなAIサービスが存在するし、どれも質問すれば答えてくれる。文章も書けるし、要約もできる。調べものだってお手のものだ。では、結局どれを使えばいいのだろうか。今回は、主要AIサービスの特徴を整理しながら、それぞれがどんな場面で力を発揮するのかを見ていきたい。
第1回では、AIは「何でも知っている存在」ではなく、膨大なデータや文脈をもとに回答を出力する存在だと整理した。では、いま私たちの前にあるAIサービスは、それぞれどんな特徴を持っているのだろうか。
同じ会話型AIに見えても、実際には役割がかなり違う。ここでは、ChatGPTを総合型、GeminiをGoogle連携型、Claudeを長文整理型、Grokをリアルタイム型として整理してみたい。そして、そこにCopilotの職場型、Perplexityのリサーチ型を加えて、紹介していこう。
ChatGPTは生成AIブームの中心にいる「総合型AI」
まず外せないのは、やはりChatGPTだ。
ChatGPTは、生成AIを一般ユーザーに広げた中心的存在である。文章作成、要約、企画出し、コーディング、画像の読み取り、音声チャットまで、とにかく用途が広い。おそらく、多くの人にとって最初に触れたAIであり、AI時代の“標準を作ったサービス”と言っても過言ではない。
ChatGPTを開発するOpenAIは、「安全で有益なAI」を掲げながら、人間に近いレベルで複雑な問題を解けるAIの実現を目指してきた。その顔として知られるサム・アルトマンは、AIの未来を語るうえで欠かせない、象徴的な存在でもある。
迷ったときにまず使える基準としての強さが、ChatGPTのいちばん大きな魅力だろう。
GeminiとNotebookLMはGoogleの生活圏に入り込む「Google連携型AI」
続いて紹介するGeminiの強みは、Googleが提供するさまざまなサービスとの連携だ。ChatGPTが独立したAIサービスとして使われることが多いのに対し、GeminiはGoogle検索、Gmail、Googleドキュメント、Android、YouTube、Googleマップといった、すでに浸透しているGoogleのサービスと強力に結びついていくAIだと認識するとわかりやすいだろう。
たとえば、Geminiでまとめた内容をGoogleドキュメントへシームレスに書き出せるのは、わかりやすい例だ。ChatGPTも文書作成は得意だが、GeminiはGoogleドキュメントなど普段利用しているワークスペースと連携することで様々に活用することができる。調べたことや整理した内容を、AIとの会話で終わらせず、そのまま編集や共有につなげられるところに強みがある。
Google系のAIサービスでもうひとつ、性格が異なるのが「NotebookLM」だ。GeminiがGoogleサービス全体に広がるアシスタントだとすれば、NotebookLMは自分で集めた資料をもとに考えるためのAIである。
筆者自身も、起業に関する行政資料を読み込ませ、その中で必要な情報を探したことがある。行政資料は正確だが、分量が多く、専門用語も多い。NotebookLMを使えば、提出書類や書き方の例などを、自分が入れた資料の範囲内で確認しやすくなる。
GeminiはGoogleサービスへ広がるAI、NotebookLMは自分で集めた資料をもとに考えるAIと整理することができる。Google系AIの強みは、日常の作業環境や手元の資料を、そのままAIの作業場にできるところにある。
Claudeは長文を読み、考えを整理する「参謀型AI」
Claudeは、文章を扱う人にとって相性のよいAIだ。長い資料を読ませる。インタビュー原稿を整理したり、論点をまとめたりする。文章の流れを整え、読みやすくする。こうした作業では、Claudeの強さを実感しやすい。
ただし、Claudeの強みは文書制作だけではない。Claudeはコーディング能力にも優れ、開発者向けの「Claude Code」では、コーディング用のエディタと接続することでコードベースを読み、ファイル編集やコマンド実行をしながら開発作業の補助させる、といった使い方も可能だ。さらにサイバーセキュリティ分野では、脆弱性の発見能力をめぐって「Claude Mythos Preview」も話題になった。
開発するAnthropicは、OpenAI出身者らによって設立され、AIの安全性や価値観の設計を前面に出してきた企業だ。Claudeの慎重さや落ち着いた受け答えは、そうした企業姿勢とも重なって見える。
個人的には、ChatGPTを総合型とするなら、Claudeは“参謀型AI”と呼びたくなる存在だ。速く広く答えるというより、複雑な内容を深く整理する場面で力を発揮する。
GrokはXと結びつく「リアルタイム型AI」
Grokは、他のAIと比べてもキャラクターが立っている。開発しているのは、イーロン・マスク率いるxAIだ。xAIは「宇宙を理解する」ことを掲げる企業であり、GrokはXとの結びつきも大きな特徴である。
マスクはXを「言論の自由」を重視する場として打ち出してきた人物であり、Grokにもその空気が反映されているように見える。xAIもGrokを、「少しウィットがあり、反骨精神を持つAI」と説明している。
Grokは、Xという巨大なSNSと結びついているため、ニュースのトレンド、世論の反応、世界で起きている出来事への受け止められ方など、リアルタイムの空気をつかむ用途に向いている。
一方で、リアルタイムの空気に近いということは、まだ整理されていない情報にも近いということでもある。Xには速報性の高い投稿や率直な反応が流れる一方で、未確認情報、極端な意見、感情的な投稿も含まれる。もちろん、外部情報を参照するAIである以上、情報の正確さを確認する姿勢はGrokに限らず必要だ。
正確な整理役というより、時流の空気を読むためのAIである。
CopilotはWord・Excel・Teamsに入り込む「職場型AI」
Copilotは、他のAIに比べると少し地味に見えるかもしれない。ChatGPTのように話題の中心にいるわけでもなく、Grokのようにキャラクターが立っているわけでもない。
だが、仕事への影響という意味ではかなり大きい。理由は単純だ。Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsを始めとするMicrosoft Officeという、すでに多くの人が毎日使っているツールの中に入ってくるからだ。メールの下書きを作る、会議を要約する、資料を整える、表のデータを読み解くといった日常的な作業のアシストに使われる。
Copilotは、発想を広げる相手というより、日々の仕事を前に進める相棒に近いだろう。
その背景には、Microsoftの大きな転換がある。Microsoftといえば、今もビル・ゲイツの印象が強い人は多いだろう。WindowsとOfficeでパソコン時代を築いた会社、というイメージだ。
だが2014年にサティア・ナデラがCEOに就任して以降、Microsoftはクラウド、業務ソフト、そしてAIを組み合わせる企業へと大きく方針を変えてきた。Copilotはその延長線上にある。Microsoftが築いてきた仕事環境に、AIを自然に組み込む存在だ。
Perplexityは検索とAI回答をつなぐ「リサーチ型AI」
ここまで挙げたサービスの中で、少し変わっているのがPerplexityだ。これは、一言でいえば「AI検索エンジン」に近いサービス。ChatGPTやClaudeが会話を通して考えを整理するAIだとすれば、PerplexityはWeb上の情報を探し、出典を示しながら答えるAIに近い。ChatGPTなどにも検索機能が存在するが、引用に特化しているところが異なる。
2022年に創業したPerplexityは、Google検索のようにリンクを並べるのではなく、AIが要点と出典を示す「回答エンジン」を目指してきた。共同創業者 兼 CEOのアラヴィンド・スリニヴァスは、OpenAI、Google、DeepMindで研究経験を積んだ人物だ。検索体験そのものをAIで作り替えようとしている。
Perplexityは特に最新ニュース、制度変更、製品比較、業界動向のように、情報の鮮度と出典が大事なテーマで使いやすい。専門的なリサーチ向けに見えるかもしれないが、仕事で下調べをする人、ニュースを追う人、製品やサービスを比較したい人にとっても、情報を集める時間を短くしてくれるAIである。
会話の相手というより、調べものの入口を作るAIとして使うと、その良さがわかりやすい。
AIは役割で使い分ける
AIの世界は会話型AIだけで完結するものではない。Meta AIやGrokのようにSNSと結びつくものもあれば、MidjourneyやSoraのように画像・動画生成を中心に存在感を高めるAIもある。業務ソフト、検索、資料整理、画像、動画。AIの広がり方は、すでに多方向になっている。
文章制作、検索、資料整理、SNS、業務アプリ、画像、動画。AIは、情報に触れ、考え、働き、表現する場面のあちこちに浸透し始めている。
では、実際に使うとき、我々はどのサービスを選べばいいのだろうか。答えは単純で、AIごとの得意分野に応じて役割で使い分けることが重要である。
筆者自身、すべてのAIを同じように使っているわけではない。たとえばNotebookLMは、取材やインタビューの準備と整理に向いている。音声データを読み込ませて文字起こしや内容整理をしたり、取材対象者に関する資料を入れて、その人に特化したAIページのように使ったりする。
インタビューでは、相手の過去の発言やプロフィール、著書、出演作、企業情報などを事前に把握しておく必要がある。NotebookLMに関連資料を集めておけば、自分で作った取材用の資料室の中で、質問の切り口や論点を探しやすくなる。
Grokは、ネタ探しや世論傾向の把握に使っている。いま世の中の人たちは何に悩み、何に怒り、何を面白がっているのか。X上の話題を追うことで、ニュース記事だけでは見えにくい生活者の温度感をつかめることがある。ただし、それは事実確認ではなく、「いま何が語られているか」を見るための使い方だ。
一方で、原稿の構成や文章の流れを相談するときはChatGPTが使いやすい。最新情報や出典をたどる調べものにはPerplexityを利用することもある。ChatGPTとアイデアの壁打ちをして、Microsoft Wordで執筆した文章をCopilotに誤字脱字や表現をチェックしてもらうこともある。
つまり、AIはひとつを選んで終わりではない。取材する、調べる、読む、整理する、書く、編集するといった工程ごとに最も力を発揮してくれるであろうAIを使い分けている。
「最強のAI」ではなく、「何に使うか」で選ぶ時代へ
2026年現在のAI選びにおいて重要なのは、どれが一番正しいかを競わせることではない。どのAIも万能ではなく、間違えることはある。だからこそ、AI選びは“最強探し”ではなく、“目的別の道具選び”として考えた方がいい。自分はいま調べたいのか、書きたいのか、整理したいのか、世の中の空気を見たいのか。その目的から逆算して選ぶことが大切になる。
次回は、こうしたAIサービスを生み出す企業や人物の思想にもう少し踏み込みたい。安全性を重視するAnthropicと、X/xAIを率いるイーロン・マスク。対照的に見える両者は、なぜAIを動かすための巨大な計算インフラをめぐって接点を持つことになったのか。AI社会の勢力図を、人物と企業の思惑から見ていきたい。
【出典】
OpenAI(ChatGPT)
https://openai.com/charter/
https://openai.com/chatgpt/
Google(Gemini / NotebookLM)
https://gemini.google.com/
https://workspace.google.com/solutions/ai/
https://notebooklm.google/
https://support.google.com/notebooklm/answer/16215270?co=GENIE.Platform%3DDesktop&hl=en
Anthropic(Claude / Claude Code / Claude Mythos Preview)
https://www.anthropic.com/company
https://www.anthropic.com/claude
https://www.anthropic.com/news
https://code.claude.com/docs/ja/overview
https://www.anthropic.com/glasswing
https://www.aisi.gov.uk/blog/our-evaluation-of-claude-mythos-previews-cyber-capabilities
xAI(Grok)
https://x.ai/
https://x.ai/news/grok
Microsoft(Copilot)
https://www.microsoft.com/microsoft-365/copilot
https://support.microsoft.com/en-us/microsoft-365-copilot
https://news.microsoft.com/source/2014/02/04/microsoft-board-names-satya-nadella-as-ceo/
Perplexity
https://www.perplexity.ai/
https://www.gsb.stanford.edu/insights/perplexitys-aravind-srinivas-infinite-value-knowledge
https://ai.princeton.edu/events/2025/aravind-srinivas-perplexity
Meta AI / DeepSeek / Mistral AI / Midjourney / Runway / Sora
https://ai.meta.com/meta-ai/
https://about.fb.com/news/2024/04/meta-ai-assistant-built-with-llama-3/
https://www.deepseek.com/en/
https://mistral.ai/
https://www.midjourney.com/
https://runwayml.com/
https://openai.com/index/sora/





























