『ドラゴンクエストV』30周年 もう一つの人生を追体験する不朽の名作
『ドラゴンクエスト モンスターズ』の礎となった作品
本作のもう一つの目玉は、モンスターを仲間にできるシステムだろう。『ドラゴンクエストV』の主人公は勇者ではない代わりに、モンスターと心を通わせることができる「魔物使い」としての適性がある。仲間にできるモンスターは全部で40種存在し、なかには主人公らが霞むほどの性能のモンスターもいる。
たとえば、終盤に仲間にできるモンスターの「グレイトドラゴン」は、ギラ系・バギ系・ヒャド系の呪文とすべてのブレス攻撃に耐性を持ち、抜群の耐久力を誇るだけでなく、全体攻撃を行うブレス系の技を数多く習得するという凶悪な性能を誇る。しかし、このような強力なモンスターの多くは、その分仲間にできる可能性が低い。したがって、強力なモンスターを仲間にしたいがために、同じモンスターとの戦闘を延々と繰り返したプレイヤーは数多い。逆に言えば、これらの強力なモンスターを集めたり、育成したりすることは、本作のやり込み要素ともいえる。
モンスターを仲間にできるシステムは好評だったようで、続編となる『ドラゴンクエストVI 幻の大地』でも同様のシステムが引き継がれた。また、後にリリースされた派生作品郡である『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズでは、いよいよモンスターの収集や育成がメインコンテンツとなっており、いわゆる『ポケモン』のフォロワー作品として高い人気を集めた。魔物使いを主人公に据えた『ドラゴンクエストV』は、『モンスターズ』の礎となったことからも、シリーズの中で重要な意味を持つタイトルだったといえるだろう。
大河小説的ストーリーとモンスターと共闘できるシステムにより高い人気を誇る『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は、その後、Play Station 2版やDS版、スマートフォン版と数々のリメイクが発売された。SFC版の30周年を機に、もう一度本作をプレイしてみてはいかがだろうか。『ドラクエ』というフォーマットを通じて描かれるもう一つの人生は、いまも色褪せることなく、プレイヤーたちを待っている。
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