映画化発表の『ドラゴンクエストV』はなぜ魅力的? “結婚”など世代を超える重厚な物語を振り返る
2月14日、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(以下『ドラゴンクエストV』)を原案とした3DCG映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の公開決定がスクウェア・エニックスより発表された。
総監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』を制作した山崎貴、原作および監修を『ドラゴンクエスト』生みの親である堀井雄二が担当する。30年以上続く国民的RPGの初映画化ということで、既に多くの注目を集めている次第だ。
そこで今回は、このビッグニュースの発表タイミング合わせる形で、今なお色あせない『ドラゴンクエストV』の魅力を取り上げてみようと思う。当時リアルタイムでプレイしたユーザーは、印象的なシーンを思い浮かべながら見てもらえると幸いだ。
世代を超えて展開する重厚なストーリー
『ドラゴンクエストV』は1992年9月27日にスーパーファミコン用ソフトとして発売された作品。ターン形式のコマンドバトルを採用しており、それまでのシリーズ作品と同様のゲーム性を保ったRPGである。
では本作の大きな魅力と言えばなんだろうか? ユーザーによってこの問いに対する答えは千差万別だと察するが、筆者は「世代を超えて展開するストーリー」だと考える。
『ドラゴンクエストV』の主人公は最初から完成された勇者ではなく、様々な出来事を経験して成長していく。詳細は割愛させて頂くが、父親と一緒に冒険へ出発する幼少期。10年間の奴隷生活から脱出し、再び世界を巡る旅へと赴く少年期。人生最大のイベントである結婚(詳しくは後述)が待ち受ける青年期。そして主人公の血脈は、伴侶との間に生まれた子供たちへと受け継がれる。
その道中は決して幸福だけに満ち溢れているわけではなく、どちらかと言えば悲劇的な印象を多くもたらすかもしれない。だからこそ、主人公の半生に焦点を当てたストーリーとプレイフィールに重厚さが増すのだ。シリアスな展開があるからこそ、エンディング時の演出に多くのユーザーが「グッとくる」のである。