ファミコン音楽の素晴らしさと「ベスト5楽曲」について考える

ファミコン音楽の素晴らしさを考える

 さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年色んな意味で改めて注目が集まっているレトロゲーム。そんなレトロゲームについて、音楽業界随一のゲーマー&レトロゲームコレクターとして名高い、KICK THE CAN CREWのMCUがひたすら語り尽くす連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」。

 連載第5回・第6回で取り上げるテーマは、「ゲーム音楽」。今回は、主にファミコンゲームにおけるゲーム音楽の素晴らしさを取り上げる。現在のゲーム機、テクノロジーと比べるとチープといっても過言ではないサウンド機能であるにも関わらず、ゲームを大いに盛り上げ、当時の子どもたちを魅了し、永遠に耳に残り、いまもなお語り継がれるゲーム音楽の魅力を紹介する。(編集部)

ファミコン音楽の特徴って?

 今回は、ファミコン時代の「ゲーム音楽」についてお話ししたいと思います。俗にいう「8ビットサウンド」や「ピコピコサウンド」というやつですね。

 当時の僕は、ゲーム音楽というジャンルに特別な興味があったわけではなく、ただただゲームを純粋に楽しんでいただけで、音楽を集中して聴いていたわけではありませんでした。でも、やっぱり当時のゲームの音楽はいまだにずっと覚えているんですよね。

 意識して聴いていたわけじゃないんですけど、自然と気になっていたのか、耳に残っているというのが、ファミコン音楽の特徴だといえるのかもしれません。

 ファミコンのサウンド機能はシンプルで、矩形波2チャンネル、三角波1チャンネル、ノイズ1チャンネルでした。音楽として3和音+ノイズみたいな形で構成されているのですが、この情報量でよくここまでのゲーム音楽を作ったなと思いますよね。

 ファミコン初期のころのゲームはそんな感じだったのですが、中期の『ロックマン』のころになると、もうノイズなども多様になっていて、細かくサウンドを刻んでドラムにしたり、矩形波やパルス波だけじゃなくて、三角波で鳴らし方を変えて、時にはベースにしてみたりと、かなり工夫されるようになっていましたね。

 いまのゲーム音楽を聴いても、もちろんそれはそれでいいんですけど、このころと比べるとインパクトが少ないというか、ファミコンのほうがメロディーが立っていますね。しかも、メロディーも1トラック、2トラックで作らないといけない。人によっては、1トラック、2トラックごとにちょっとズラして、いわゆるディレイのような表現をしている音楽もありました。

 ハドソンの『スターソルジャー』(1986年6月13日発売)がたしかそうでした。『スターソルジャー』は弾(たま)の音で1チャンネル持っていかれるので、残ったトラックで作らないといけないという。ゲームは基本的に効果音がメインで、そこにBGMを載せるという制約がありますから。

 後期になると「ファミコンでここまで鳴らせるの?」というゲームがいっぱいありました。もっともその音源の工夫は、やっぱり大人になってからスゴいなと気づいたんですけど。小学校のころは「矩形波」なんて言葉も知らなかったですし、学校の帰りに曲を口ずさむ程度でしたから(笑)。

ゲーム音楽もピンキリ

 そんなファミコンのゲーム音楽も初期は混沌としていました。

 たとえば、タイトーの『ジャイロダイン』(1986年3月13日発売)。ゲームが始まると効果音しかないんです。曲がどうというより、そもそもで作っていないという。そういうゲームがファミコン初期のころは結構ありましたね。

 あらためてそういうゲームをやってみると、BGMは高揚感をもたらすものなんだと思いますよね。音楽があることで気持ちがアガるというか。だから僕は自分のYouTubeチャンネルで「『ジャイロダイン』に勝手に曲をつけてみた」という動画をアップしてみたりして(笑)。どうなるのかなと思って、他のゲームの曲をつけてみたりしたら、やっぱり数倍面白いんですよね。やっぱり曲はあったほうがいい(笑)。

【KICKTHECANCREW 】ファミコン心拳外伝【BGMが無いゲームにBGMを入れた】

 あと、最近KICK THE CAN CREWの中でもちょっと流行っていたのはコナミの『ロードファイター』(1986年3月13日発売)。スタート前にBGMが流れるのですが、スタートするもう放置(笑)。スタート地点とゴールしたあとにBGMが流れる以外は、エンジン音とぶつかったりしたときの効果音だけで……逆に集中できる(笑)。

 ちなみにこの『ロードファイター』にも、自分のYouTubeで曲を付けています。

 ほかのメーカーのレースゲームの曲をいろいろ付けてみた結果、データイースト『バギー・ポッパー』(1986年10月8日発売)のBGMをつけたらばっちり合いすぎて、すごい面白かったです。

【MCUの百獣な1面】シーズン2【ロードファイターの巻】ゲーム中にBGMがない!!だから他のレースゲームのBGMをぶっこんでみた!

 ゲームのBGMは大事だなと思ったのは、すぎやまこういちさんの楽曲を聴いたときですね。

 特に『ドラゴンクエストII』(1987年1月26日発売)の曲で、牧野アンナさんの歌にもなった「Love Song 探して」のメロディーですね。ゲーム開始時の名前の入力と復活の呪文のパスワードを入力する場面で流れる曲ですが、ちゃんと重低音感があって。

 ゲーム内の音楽も3〜4トラックで分けているというか、伸びるメロディーとちょっと刻んでいる音と、どっちがどっちなのか僕には詳しくはわからないんですが、矩形波・パルス波はクリアな音と、デューティ比を変えることでもうちょっと雑なドライな音が鳴らせたり、4bitですけれど三角波があったり、それらを工夫して作っていると思うんです。この階段を降りるときの効果音はノイズの音ですね。

 やはりファミコンの一番の代表曲というのは、これなのではないでしょうか。すぎやまこういちさんのような著名な方が、本当にゲームの世界に来てくれて、真剣に取り組んでくれたのは大きいですよね。

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