ファミコン音楽の素晴らしさと「ベスト5楽曲」について考える

ファミコン音楽の素晴らしさを考える

MCUの「ファミコンゲーム音楽ベスト5」

 今回は僕がすごくいいなと思った曲のベスト5を挙げていきます。

 5位はコナミの『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』(1987年1月4日発売)。正月早々に発売したゲームだからか、なんとなく正月っぽいような気がするのですが、ちゃんとメロディーもスネアも鳴っていて、キャッチーでクセになる楽曲ですね。当時、学校帰りに口ずさんでいました。

 アスキーの『ボコスカウォーズ』(1985年12月14日発売)みたいに最初から歌詞があるゲーム音楽もありますが、これは歌詞のないものに勝手に歌詞を作っちゃうというね、よっぽど好きなんでしょうね。僕は「たびびとのよう~♪」とワンフレーズだけ歌詞をつけていました。ボス戦の音もすごく凝っていて好きでした。

 このころのコナミサウンドというのは無敵で、80年代末から90年代初頭はコナミサウンドが確立された時期だったと思うんですね。なんか頭ひとつ抜けていたイメージがあるというか、すごいキャッチーであり、かつきちんとカッコいいところに落とし込んでいるというか、メロディーもしっかりして、ビートチックなものもノイズで描いているのは、結構どこよりも早い段階で実現させていたんじゃないかな。

 ちなみに音楽のクレジットを見たら、FUNNY IKU(水谷郁)さん、DANDY HIDENORI(前沢秀憲)さん、CHARMING KINUYO(山下絹代)さんというすごいメンバーです。コナミ矩形波倶楽部にも近しい面々。それぞれやっぱりすごい方がやっているわけですね。

 4位は、カルチャーブレーン『飛龍の拳III 五人の龍戦士』(1990年7月6日発売)のオープニング。ファミコンによくある哀愁を感じさせる曲の中でも、ずば抜けていると思います。

 1990年発売のゲームですが、この頃からちょっと映画チックに始まるファミコンゲームが多くなり始めたような気がします。

 このゲームは、冒頭からしばらく無音というのがまたカッコいいんですよね。そこからタメがあって、しっかりしたメロディーが来るんです。リズムも変速に打っていたりして面白い。

 ちなみにこの曲にビートなどをもっと足して出来上がった曲を僕が組んでいる「ファミリーコンティニュー」というラップグループのオープニング入場テーマとして使っています。それぐらい好きです。

 3位も哀愁系なんですけど、ホット・ビィ『星をみるひと』(1987年10月27日発売)ですね。

 先日Nintendo Switchでもリバイバルされたゲームなんですが、そのオープニングテーマです。ちなみにこれも僕がカバーしたことのある楽曲です。

星をみるひと/MCU

 一時はこれをずっとループして聴きながらお酒を飲んでいたくらい好きです。

 ちなみにゲームBGMでお酒を飲むときは、サントラではなく実際にゲームを立ち上げてテレビから出てくるファミコンの音で飲むのがいいんですよ。だいたいがループするようにできているんですけど、この曲は結構長めに作られていて、それもいいんですよね。

 2位はサンソフト『ラフワールド』(1990年8月10日発売)。これは度肝を抜かれました。

 発売はファミコン後期ですね。これファミコンなの?っていうね。コナミの『ラグランジュポイント』も聴いていてすごい焦ったんですけど、初めて『ラフワールド』を聴いたときに「ファミコンでこんな音出せるの!?」と思いました。

 所々、音が生っぽいというか……スゴいんですよね。ファミコンの後期に増えた拡張音源を使っているんじゃないかなというぐらい、ROMを拡張させているのかなと思ったんですけど、実は拡張音源ではなく、DPCM(サンプリング音源)を活用しているみたいなんですよね。

 これは本当にカッコいいですよ。ゲームを立ち上げた後、なにかボタン押さない限り、画面も変わらずずっと曲が流れているので、たぶん相当聴かせたいということなんだと思います。

 1位はハドソンの『忍者ハットリくん』(1986年3月5日発売)。曲は国本剛章さんですね。作曲というかアレンジで魅せている楽曲で、そのアレンジの仕方がエグいんです。

 クラシック音楽の『アルルの女』(ビゼー作曲)のメヌエットと『天国と地獄』(オッフェンバック作曲)の序章に、『ハットリくん』のアニメ主題歌(菊池俊輔作曲)のサビの部分をつなげるという。なんの違和感もなくクラシックのアレンジをしていて、しかもハットリくんの主題歌のつなぎ方がぶっ飛んでいると思うんですよね。原曲の拍の取り方も変えていたりして。

 国本さんといえば、ハドソンの『チャレンジャー』(1985年10月15日発売)も有名ですね。これも1面のBGMはクラシック音楽です。『軍隊行進曲』(フランツ・シューベルト作曲)のアレンジですね。国本さんのアレンジは、曲の運びがいつもスムーズなんですよね。

 アレンジ曲とやられたときの効果音等の曲の切り替え方がもう天才的で、間違いなく1位は国本剛章さんの曲なんじゃないでしょうか。

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