にじさんじの“清楚”代表? シスター・クレアが活動を通して表現する「継続」の重要性
シスター・クレアといえばにじさんじにおける「清楚」代表と言われることがとても多い。
おっとり、ほんわか、ゆるふわで穏やかと聞くと、「おっちょこちょい」「間が抜けている」といったイメージを連れてきそうでもあるが、現在の彼女はそういったイメージとは無縁。かなりしっかり者な印象をリスナーやファンに与えてきた。
この2年ほどで彼女のメイン配信となっているのは「作業配信」「Typing ASMR」と題した配信だ。配信の中心になるのはその名の通り「タイピング音」で、クレアもあまり多く話すことはなく、画面を見ながら作業をこなしている姿をジっと映し出す。ときたまにコメントとの会話はするものの、割合としては決して多くない。
1時間から2時間ほどのこの配信に、多い時は数千人のリスナーが集まってくる。相互のコミュニケーションもあまり図ることなく「ただの立ち絵が乗っかっているだけの画面」を見ていることに、疑問歩感じる方もいるはずだ。
これは、古くにはSkype、いまではDiscordなどで行なわれている作業通話と同じような考えで配信されている。特にコロナ禍の影響で自宅作業が一気に増加したことによって「作業通話」を求めるひとが増加、無料の作業通話アプリが発表されているほどだ。
クレアの作業配信も「目標を決める」「数時間ほどの無言作業」「結果を報告する」という骨子を違えることなく、これまでに200回以上を超える作業配信を届けてきた。神に仕えるシスターという役割(ロール)を拾い、リスナーの需要をうまく見極めた配信を通して「真面目」「しっかり者」というイメージを植え付けてきた。
彼女のエピソードで有名なものといえば、配信活動を続けながら教員免許を取得したという話だろう。科目は国語、中学・高校の相当の教員免許で、教育実習などを含めて4年ほどかけて取得したとのこと。「この報告、当てられる人いないと思うよ?」と前置きしたうえで発表したが、実際当てられたひとはほとんどいなかったであろう。
「今後の活動でなにか変わるかというと変わるわけではない。なにか教えられたらいいなと思って興味を持って勉強した」
「こうして教員免許を取っても教員にはなるわけではなく、将来の選択肢が増えたと思ってもらえれば良いですね。今後も配信のほうに力を入れていきます」
時期的に考えても配信活動を始める以前からチャレンジしていたであろう教員免許取得の道。多忙の中にあっても辞めることなく続けていたところを考えれば、彼女の挑戦者気質・芯の強さが感じられるはずだ。
「継続は力なり」という無言のメッセージは、もう一つ重要な彼女の企画からも伝わってくるはずだ。1日1本「まいにち動画」を投稿する定番企画は、彼女のコアな活動となってきた。
こちらは自主で制作した動画シリーズとなっており、文字通り毎日投稿される動画である。日常的な会話ではあるがネタ・幅は元より、トークの温度感もちょっとずつ異なっているなど、細やかな違いが感じられる。
ほとんどの動画が1分~2分ほどの内容がメインであるが、折を見て10分を超える内容に仕上げていた時期、時には投稿そのものを大きく休んでしまった時期もあるなど、その時々の自身の活動次第で様々に形態が変わってきたが、彼女がもっとも力を入れてきた動画たちである。
その投稿量は圧倒的で、彼女のYouTubeチャンネルを古い順でソートすれば、「まいにち動画」で一気に埋められてしまうほど。その数は900をはるかかに超え、じつは残り50回ほどの動画投稿で1000回に到達する。
一つひとつの動画再生数は数千回ほど、デビュー初期からは再生数が大きく変化しているわけではない。だが「まいにち動画」に関して何かしらの方針変化があれば、リスナーやファンにSNSや他配信などを通じて一度声をかけ、ときには今後の方針についてともに考えてみたりするなど、常にその目線の先には自身を慕うファンたちがいたことを忘れてはいけないだろう。
にじさんじ所属のタレントが継続的にこなしている企画動画・配信のなかでも、伏見ガクの「おはガク」や勇気ちひろ・鈴谷アキ・モイラによる「モイっと!まほすずラジオ」と同じような、クレアとファンとの固い絆を象徴する企画へと成長したのだ。