【ネタバレあり】『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』金鹿ルート(黄瞭の章)をクリアして感じた“疑問”

ネタバレ『FE無双 風花雪月』金鹿ルートレビュー

 2022年6月25日、『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』がリリースされた。3つのルートが用意された今作だが、一つのルートを攻略するだけでもかなりのボリュームを誇る。

 今回は「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」を選択した「黄瞭の章」ルートのクリア後のレビューを紹介する。今回はストーリーについての言及がメインとなる。多分のネタバレを含むため、ご自分でストーリーを追いたい方は注意して閲覧いただきたい。

一周あたりのボリュームについて

 今回、金鹿ルートを遊んだところ、エンディング時点でのプレイ時間は32時間程度であった。筆者はエピソード10あたりまで難易度ノーマルで遊び、ほぼすべてのサブクエストを遊んでいたが、途中からスムーズに進行するため難易度をイージーに変更し、いくつかのサブクエストや外伝については未プレイという状況だ。単純にストーリーを楽しむだけならもっと早く攻略することもできるだろう。なお、本作はルート分岐が2カ所あるが「金鹿の学級」を選び、途中で「ベレト/ベレス(初期設定名)」を仲間にした場合、エピソード数は全部で17話であった。

 しかし、遊び方によってはプレイ時間がもっと膨れ上がる可能性がある。たとえば「すべてのサブクエストや外伝クエストでSランクを達成する」「ハードモードで遊ぶ」「キャラクターの育成をとことんまで楽しむ」といった遊び方をすれば、1周あたりのプレイ時間が50時間を超えてもおかしくない。

 本編同様にボリューム満点のゲームである一方で、メインのストーリーを進めるために本筋と関係ない戦闘を強いられるシチュエーションも少なくなかった。後半はストーリーのテンポが悪くなっている印象もあり、また他のルートのストーリーが気になりだしたことも相まって、必要のないサブクエストは飛ばしながらプレイすることになった。

金鹿ルートのストーリーには意外な展開が

 先に結論から述べると、筆者は今作の金鹿ルートのシナリオに対して否定的な立場である。

 そもそも、本編における金鹿ルート(翠風の章)は、物語の核心にもっとも迫るルートだった。アドラステア帝国との戦争を終結させ、セイロス聖教会の大司教であるレアを救出することで、他のルートでは伏せられていたさまざまな謎が明かされるルートとなっていた。また、フォドラを裏から操り、数々の惨劇を生んだ勢力「アガルタ(闇に蠢く者)」と決着を付けられるルートでもある。

 しかしながら、『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』の金鹿ルート(黄瞭の章)は、本編のそれとは大きく展開が異なる。

 まず、「黄瞭の章」は序盤こそ帝国軍と戦っており、見覚えのある展開となるものの、クロードはその途中でレスター諸侯同盟を「レスター連邦国」に改め、自身が国王として君臨することを選ぶ。これは「円卓会議」によって方針を決めるレスターの合議制が、戦時下では不利にはたらく場面が多いための措置であった。そして、驚くべきことにアドラステア帝国と同盟を結び、ファーガス神聖王国への進攻を開始するのである。

 もちろん、これには理由がある。パルミラからフォドラへ渡ってきたクロードは、かねてよりフォドラの排他的で閉鎖的な価値観を変えたいと願っていた。そして、そんな価値観が生まれる歪なシステムを作ったのは、セイロス聖教会に他ならない。したがって、フォドラの変革のためには、セイロス聖教会を排除する必要があり、かの団体を庇護するファーガス神聖王国へ攻め入る必要があったのだ。これを実現するために、共通の目的を持つ帝国と同盟を結ぶことになったのである。

 しかしながら、本編を遊んだ立場からすると、このクロードの決断には違和感を覚える。クロードは、本編においてもフォドラ社会の閉塞感を打破したいという立場ではあったうえに、「レアがいない世界を見てみたい」と発言していたこともある。彼が掲げる野望は、そもそもエーデルガルトの考えと近いものであるともいえる。その一方で、本編中のクロードは「他国を侵略するエーデルガルトのやり方では死人が出過ぎる」という考えも持っていたはずだ。

 そのため、改革を成し遂げるためとはいえ、直接的な危害を加えられていないファーガスにまで侵攻する姿は意外なものであり、釈然としないプレイヤーも多いのではないだろうか。

 このクロードの行動指針について考察するなら、今作では士官学校が早々に解散してしまうことから、彼が本来ガルグ=マクで学ぶはずだった他者への思いやりが育たず、他国への侵略も辞さない人間になってしまったのかもしれない。

 さらに、今作のクロードは、実の兄であるパルミラの王子「シャハド」を殺害することになってしまう。これらの要因が重なり、クロードが急進的な改革を目指すようになったのではないだろうか。

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