扱いづらい主人公に手強いシミュレーション……『ファイアーエムブレム 封印の剣』20周年を機に振り返る

『ファイアーエムブレム 封印の剣』発売20周年

 2022年3月29日は、かつてゲームボーイアドバンス(以下、GBA)向けに発売されたシミュレーションRPG『ファイアーエムブレム 封印の剣』の発売から20周年となる。本作はシリーズ初の携帯機向けのタイトルであり、『ファイアーエムブレム』が新たなスタートを切った作品ともいえる。

 今回は、『ファイアーエムブレム 封印の剣』について、発売20周年を機に振り返ってみよう。

シリーズ初の携帯機向けタイトル

 『ファイアーエムブレム 封印の剣』は、2002年3月29日に任天堂から発売されたGBA向けシミュレーションRPGだ。敵軍の制圧を目指す。『ファイアーエムブレム』シリーズの6作目に当たる。初の携帯機向けタイトルだったこともあり、初めて遊んだ『ファイアーエムブレム』が『封印の剣』だったという方も多いのではないだろうか。当然ながらそのような新規ユーザーも想定されていた『封印の剣』では、チュートリアルモードが追加され、初心者も遊びやすい親切設計となっている。

 ゲームシステムとしては、騎兵や魔法使い、剣士、竜騎士といった個性豊かな兵士たちを操り、自軍のターンと敵軍のターンを交互に繰り返しながら、敵軍の制圧を目指すものだ。敵を倒してユニットのレベルを上げる育成要素もあり、お気に入りのユニットだけで攻略するのも面白い。自分だけの軍隊を作り上げていくのは、今も続くシリーズの醍醐味だろう。

 ちなみに、『ファイアーエムブレム』といえば「手ごわいシミュレーション」のキャッチコピーが有名だが、本作は過去作に比べて控えめな難易度になっている。これは、新規ユーザーの獲得を想定した措置だろう。しかし、当時GBAの主たるプレイヤーであった小学生などにはそれでも難しかったらしく、最後までクリアできなかったプレイヤーも数多い。また、撃破されたユニットは死亡してしまい、二度と使えないというシリーズ特有のシステムも健在だった。携帯機になったとはいえ、キャッチコピーに違わぬやりごたえがある作品といえよう。

いまいち扱いづらい性能の主人公

 本作の主人公「ロイ」は、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』にファイターとして起用されていたこともあり、『ファイアーエムブレム』を遊んだことがなくてもキャラクターは知っているという方は多いだろう。

 しかし、『ファイアーエムブレム 封印の剣』におけるロイは、決して強力なキャラクターではなかった。力や速さといったステータスの成長率が平凡であることから敵を倒しきれない場面が多く、敵味方ともに強力になってくる中盤は特に足を引っ張りがちだ。ロイのステータスが思うように伸びていない場合、この状況はさらに悪化する。

 強力な武器である「封印の剣」を手に入れればステータスも底上げされ、ある程度優秀なユニットになるものの、入手は終盤であることから、そもそも活躍させられるシーンが少ない。本作をプレイした人の中には、ロイの運用に困ったという人も多いのではないだろうか。

 後発タイトルでは強力な性能の主人公が増えたことから、ロイはシリーズ中でもかなり不遇な扱いを受けた主人公といえるかもしれない。

戦闘アニメーションは見ごたえ抜群

 『封印の剣』の魅力は戦闘アニメーションにもある。ドット絵で表現された戦闘アニメーションは一見の価値ありだ。

 アニメーションはユニットのクラス(兵種)ごとに設定されている。アーマーナイトの重厚感、ペガサスナイトの羽ばたき、盗賊の身軽さなどがドット絵で見事に表現されている。効果音も絶妙で、鎧のこすれる音や武器を振り回す風切り音などがたまらない。プレイ中何度も見ることになる戦闘アニメーションにもかかわらず、最後まで飽きることなく見ていられる。中でも「ソードマスター」がクリティカルを繰り出したときのアニメーションは必見だ。

 近年の『ファイアーエムブレム』では戦闘アニメーションも3Dになっており、どちらかといえばリアルな演出へと路線変更している感がある。しかし、時おり『封印の剣』に連なるGBA3部作のような派手な戦闘アニメーションが恋しくなる人もいるのではないだろうか。

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