【ネタバレあり】『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』金鹿ルート(黄瞭の章)をクリアして感じた“疑問”
あくまで本編のシナリオを尊重したスピンオフ作品であることを認識
ここまでは批判を並べてきたが、今作のシナリオがこのような形になっている背景には、「本編のストーリーを尊重しながらも新たなシナリオを作る」という開発陣の心配りがあったようにも思う。
仮に『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』のストーリーが大団円の結末を迎えた場合、かつて「ベレト/ベレス」として奮闘したプレイヤーたちにとっては心苦しいものがあるだろう。また、『無双』のストーリーだけが正史として扱われるような展開も避けたかったのではないだろうか。
その一方、今作では本編で叶わなかった展開も見られる。
たとえば、今作ではベレト/ベレスに加え、その父親であるジェラルトも自軍ユニットとして加入する。本編では士官学校編で死亡してしまうジェラルトが生存しているだけでなく、ベレス/ベレトとの支援会話も用意されており、ファンにとってはこれだけでも見る価値があるかもしれない。ベレト/ベレスについては少々冷徹な性格にも見えるが、彼が士官学校に通わなかった結果と考えると納得がいくのではないだろうか。
また、新たに主人公として追加されたシェズ(初期設定名)は、やや抜けたところはあるものの実直な性格で、好印象なキャラクターだった。彼とレスターの面々との支援会話のなかには笑ってしまうようなものもあった。新たなキャラクターを主人公として据えたのは大成功だったのではないかと思う。
しかしながら、シェズと、彼が内に秘めたラルヴァについては最後まではっきりと正体がわからないままだった。「闇に蠢く者」についてももっと掘り下げがあるかと思ったが、少なくとも金鹿ルートではそれほど描かれてはいなかった。他のルートを遊ぶことで真実が見えてくるのだろうか。
最初に遊ぶのは金鹿ルート以外がおすすめ
筆者はまだ青獅子と黒鷲のルートをプレイしていないものの、「金鹿ルートを最初に遊ぶべきではなかったかもしれない」と少々悔やんでいる。これから別ルートを遊ぼうと考えているが、どのようなシナリオになっているのか期待半分、不安半分といったところだ。
あるいは、『無双』を遊んだ後で、もう一度本編の『ファイアーエムブレム 風花雪月』を遊んでみるのも手かもしれない。今回は批判が多くなってしまったものの、新たな物語でレスターの面々にもう一度出会わせてくれたコーエーテクモゲームスには感謝したい。