ブチギレ氏原とカジサックのコラボにみる、YouTubeで“一発逆転”した芸人たちの現在

お笑い芸人のYouTube進出、道を作ったのは梶原雄太

 YouTubeを主戦場として戦うという、お笑い芸人の新しい道を切り開いたのは、氏原が今回コラボした梶原雄太だ。梶原はかつて、テレビのバラエティ番組でメインを張るなど人気を誇っていたが、時代の流れとともにバラエティ番組の座組みが変化。梶原はあるインタビューで、MCがひな壇芸人にツッコむという座組みに適応できず、テレビでの活躍の場は減っていったと振り返っている。

 テレビ業界の変化を背景に、梶原は2018年8月に「カジサック」チャンネルを開設。今ではサブチャンネル「カジサックの小部屋」とゲームチャンネル「カジサックのゲーム部屋」、個人チャンネル「梶原雄太の部屋」を運営し、4つのチャンネルの総登録者数は約320万人(2022年6月5日時点)を誇り、その人気ぶりは周知の通り。また、梶原からの勧めでYouTubeでの活動を始めたことを公言しているオリエンタルラジオ・中田敦彦は、2019年春に「中田敦彦のYouTube大学」での動画投稿を開始。同年9月にはセカンドチャンネル「中田敦彦のトーク」でも動画投稿をスタートし、現在ふたつのチャンネルの登録者数は530万人以上と、梶原同様、YouTuberとしての確固たる地位を築いた。

 梶原はテレビのバラエティ番組を彷彿とさせるようなエンタメ系コンテンツで、慶應義塾大学経済学部卒の中田は歴史や文学、雑学などの教育系コンテンツで人気を博しているわけだが、同じお笑い芸人でもそのジャンルはさまざま。そんなふたりの成功を見てか、現在は人気芸人たちもこぞってYouTubeチャンネルを開設し、ネタを披露するほか、その特性を活かした動画で勝負をかけている。なかでも、狩野英孝はゲーム実況、早稲田大学教育学部卒の小島よしおは小学生向けの教育系コンテンツ、猫好きで知られるサンシャイン池崎は愛猫の様子を公開する猫動画が話題で、それぞれが自身の得意とするコンテンツで成功を収めているのだ。

 氏原はというと、もともとコンビでツッコミを担当していたこともあり、切り返しのセンスは抜群。しかしその特性以上に、「視聴者に対するキレ芸」を選んだことも成功の理由のひとつだと考えられる。この点に関して梶原は、今回の氏原とのコラボ動画で「俺、ずっとあの枠空いてるなぁと思ってたんですよ」と述べており、氏原の登場についに「来たな!!」と感じていたと告白。今回の動画は、梶原のコメントに対するキレ芸を氏原が披露する予定だったが、梶原から投下されたあまりのボケの多さに企画はほぼ頓挫。それでも氏原の返しは光っており、初めて氏原を知ったという視聴者の心をがっちり掴んだようだ。

 お笑い芸人がYouTubeに進出する背景はさまざまだが、氏原の成功を目の当たりにすると、YouTubeがブレイクするためのひとつの方法になっていることは間違いない。テレビよりも圧倒的に制約の少ないYouTubeは、今後もお笑い界のニュースター誕生の場所や、再起の場所として注目を集めそうだ。

<参考>
https://r25.jp/article/601677722970739056
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68881?imp=0

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