『スーパーロボット大戦IMPACT』20周年 心が折れそうなシリーズ最大ボリュームと絶妙な難易度設計

高い戦略性が求められる絶妙な難易度設定

 『IMPACT』は発売当時「初心者向け」を謳っていた。しかし、本作はそれなりに歯ごたえのあるシミュレーションゲームとなっており、とても初心者向けといえるような難易度ではない。ただし、各ユニットの特性をよく理解して運用すれば有利に進められる絶妙な難易度設計となっている。

 多くの『スパロボ』には、バランスブレイカーと呼ばれるような突出した性能のユニットがいる。とりわけ、「ゴッドガンダム」や「ビルバイン」といった攻撃力・回避力に秀でた機体はさまざまな『スパロボ』作品で猛威を振るっており、とりあえずこれらの機体を強化して敵陣に突っ込ませておけばなんとかなるケースもままあった。

 しかし、本作ではこれらの機体の性能も控えめだ。攻撃力は抑えられ、回避性能も他作品ほどの群を抜いた高さではなかった。また、敵機のHPが高いことも相まって、単機で突撃していてはステージを攻略するのは難しい。

 その代わり、各ユニットの個性が色濃く出たバランス調整になっている。たとえば、攻撃力は低いものの回避力が高いユニットを使えば、自軍の被害を抑えつつ雑魚敵のHPを削ることができる。一方、攻撃力が高いものの燃費の悪いユニットなどもいて、このようなユニットはステージ序盤はある程度エネルギーを温存しながら戦う必要がある一方、ボスなどの強敵との戦闘では活躍しやすい。

 また『IMPACT』では、それまでの『スパロボ』ではほとんど使い道がなかったユニットやパイロットも、やり方次第で活躍させられる。たとえば、『機動戦士ガンダム ポケットの中の戦争』から参加するパイロット「バーニィ」は、初期ステータスこそ低いものの強力なスキルを持っており、ボス相手に大活躍する。

 このように、各ユニットの特性を理解して的確に運用することが求められる。さまざまなロボットアニメが集結したコラボレーションという「エンタメ性」が注目されがちな『スパロボ』シリーズの中でも、『IMPACT』は戦略性の高さが際立つタイトルといえるだろう。

 シリーズ最長のボリュームを誇り、奥深い戦略性が楽しめる『スーパーロボット大戦IMPACT』。もしも時間に余裕があれば、この大作シミュレーションの踏破に挑んでみてはいかがだろうか。

(画像=スーパーロボット大戦IMPACT | ソフトウェアカタログより)

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