人型ロボットはより「人っぽく」進化? ASIMOやペッパーにはない“可能性”とは 

人型ロボットの進化を辿る

 イーロン・マスク率いる電気自動車メーカーTeslaが、同社のプレゼンテーションイベントTesla AI Dayにて、何の前触れもなく人型ロボットの開発参入を発表した。以下の動画にてプロモーション映像の確認ができる。

 ロボットの名前は「Tesla Bot」。同イベントではデモ映像と、Tesla Botに扮したダンサーによるパフォーマンスが披露されたのみで、実物のロボットはまだ公開されていない。しかしマスク氏はダンサーのパフォーマンスを見送ったあとで「このロボットは実現する」と語った。

 Tesla Botは、身長約173cm、質量約57Kgで、全身40箇所にアクチュエーター(駆動装置)を搭載した二足歩行ロボット。頭部には情報を表示するディスプレイやマルチカメラを搭載し、ニューラルネットワークにより自律制御される。

 SF映画のようなシロモノだが、果たしてTesla Botは本当に実現可能なのだろうか。人類は古くから自分たちと似た形である二足歩行のヒューマノイドロボットの開発に取り組んできた。1928年に開発された、おそらくは歴史上初の人型の機械装置「テレボックス」にはじまり、日本では「学天則」や「ASIMO」、「Pepper」などのロボットが生み出された。

 例えば1986年に生まれたASIMOは、二足歩行が可能である点が高く評価された。一歩踏み出すのに5秒も要したが、それでも二足歩行は偉大だったのだ。人間が無意識に行っている歩行時のバランス制御や各関節の動きも、ロボットで行う場合は膨大な計算や慣性制御、地形把握などが必要になってくるからだ。一方で2014年に生まれたPepperは二足歩行ではなくモーターによる移動を選択し、その高い汎用性から店舗でも採用されている。

 近年の二足歩行ロボットで有名なのが、アメリカのボストン・ダイナミクス社が国防高等研究計画局(DARPA)の予算と監督で開発した「Atlas」だ。最近ではパルクールを思わせるアクロバティックな動きを実現できるまでに至っており、ASIMOと比べるとその進化に驚かずにはいられない。

Tesla AI Day

 これら人型ロボットの歴史から見ると、Tesla Botはどのような立ち位置になるのだろうか。マスク氏は「人の代わり肉体労働をするロボットで、退屈あるいは危険な仕事を代替してくれる」と述べている。人型にすることで人間のためにデザインされた社会でも柔軟に動ける、ということだ。事実、車輪で動くロボットはスピードは出せても階段は登れない。人間の社会は人間の動きに合わせてデザインされていることを思えば、本当に人の仕事をロボットに代替させたいなら、人型である点は理に適っていると言える。

 そもそもどうしてTeslaがロボットを作ったという部分においては、マスク氏いわく「自分たちが作っている自動運転コンピューターを備えた電気自動車は、車輪付きの自動制御ロボットのようなもの。人型にした場合も、センサーやバッテリーなど、培った技術を活かせる」とのこと。確かに一理あるようにも思えるが、先に挙げた二足歩行ロボットの歴史を見る限り、技術の応用で済むほど簡単にはいかないだろう。

 Teslaは2022年にTesla Botのプロトタイプ公開を目指している。歴史上の人型ロボットよりもはるかにスマートなTesla Botは、果たしてどんな動きを見せてくれるのか。あるいは実用化が可能となったとき、社会にどんな変化があるのか。SF映画のような空想世界が、いよいよ現実となりつつある。

(画像=unsplashより)

(Source)
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1345198.html
https://techcrunch.com/2021/08/19/musk-the-tesla-bot-is-coming/

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