ビジネスとクリエイティブを拡張する Adobe Expressの可能性
SNSで話題になったカップル経営のキッチンカー「CHURROS AVENUE」が求めていたのは"即時性"と"機動力"(後編)
アドビの提供するサブスクリプション型クリエイティブツール「Adobe Express」はiOS/Android/WEBに対応しており、簡単な操作で誰でも手軽に高品質なコンテンツを作成できる。本連載ではこのツールで、各業界のクリエイティブにおける「課題」を解決していく。
今回はキッチンカー「CHURROS AVENUE(チュロスアベニュー)」の共同経営者である佐野雄一氏・佐野望氏へのインタビュー後編だ。前回はお店のチラシやポスター、SNSへの投稿などにおける煩雑さを解決するツールとしてAdobe Expressを活用するビジョンが見えたが、問題はそれだけではないという。
キッチンカー特有の事情から、スマートフォンで使える・完結できることは、こちらの思った以上に画期的であることがわかった。ということで、後半ではキッチンカーにおけるクリエイティブの課題について掘り下げていく。(編集部)
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ーーAdobe Expressはスマートフォンに代表されるモバイルデバイスに完全に対応しているので、例えばInstagramへの投稿などをスマートフォン1台で完結できます。こうした点はいかがでしょうか?
佐野雄一(以下、雄一):非常に便利です。営業日には一日キッチンカーにいるわけですが、パソコンを開きたくないんですよ。狭い場所なので粉や水が入っても危ないですし、一度持ち込んだときには彼女のキーボードは油でベタベタになってしまいました。正直、キッチンカーの中でパソコンを開くのは無理です。なのでスマートフォンで完結できる、というのは本当に僕たちにとって大きなメリットだと思います。
佐野望(以下、望):あとはパソコンを開いていると、お客さんからの見た目が悪いというか、「ちょっと立て込んでいるのかな」と思われてしまうことがあるんです。パソコンを開いて、お客さん来たときに閉める、というのも厄介で、後でまた開いたときに作業に戻るのにも時間がかかるんですよね。
雄一:最悪なのが、テザリングが切れちゃうことですね。いちいちつなぎ直さなければいけなくて本当に面倒です。
望:でもスマートフォンなら店頭で使えるし、写真も撮影できるので便利ですね。
雄一:僕が一眼レフを持っているので、メニューの写真はそれで撮影しているんですが、本当は一眼もキッチンカーに入れたくないんですよ、精密機器ですから。
ーー写真を撮るときに意識していることはありますか?
望:お店のロゴマークを入れるようにしています。ロゴがブルーなので、揚げたてのチュロスが寒々しく見えないよう、編集で少し赤味を足したり、日当たりの良いところで撮影するようにしています。
望:ただ、一眼レフで撮影するときは、撮影後にカメラをパソコンに繋いで、Photoshopで切り抜きをして……という作業が必要になるんですけど、これは営業中は無理なんですよね。
ーー営業日の1日のスケジュールは?
雄一:8時ぐらいに起きて、在庫を車に積んで営業場所へ向かいます。10時ごろに現地について、11時から営業を開始。場所にもよりますがだいたい19時ぐらいまでの営業です。20時ごろに帰宅したらもう最近は結構疲れていて。営業していない日は在庫の管理や冷凍チュロスの事業準備なども行っています。
望:ふたりでやっているので、営業中に撮影したり画像を編集したりするのは難しいんです。 パソコンは持ち込みたくないし、仮に作業を始めてもファイルがごちゃごちゃして、「どこ行ったかな」なんてファイルを探している間にお客さんが来て、いらっしゃいませ……と対応していたら1日が終わってしまう。スマートフォンだったらSNS投稿も撮影・編集から投稿まで完結できますし、ちょっと空いた時間にポスターとかチラシも作れそうです。チラシの「広告」のテンプレートを使って、試しに作ってみたんですが本当に5分ぐらいで作れてしまって。
ーーすごく良く出来ていますね。
望:でも、テンプレートから変えたのは画像とテキストぐらいですね。文字組みが面白くていろいろさわっていたら出来ました。面白かったのが、テンプレートの中に切り取られた画像が配置されているんですけど、「置き換え」という機能でこの画像をチュロスの写真に変えたかったんです。背景を透過していない未編集の写真なんですけど、「置き換え」を押したら勝手に背景が消されて、感動しちゃいました。「これ使おう!」って。
ーーAdobe Expressが写真を認識して、自動で切り抜き処理を行ってくれるわけですね。背景透過した画像をいちいち用意する必要がない。
望:これまでもスマホで色々試していたんですが、本当にその作業だけはパソコンのPhotoshopでやっていたんです。切り抜きも意外と難しくて、きれいに消えなかったから「これは後で家でやろう」となって作業が進まなかったりしていたんですけど、Adobe Expressでは写真を「ぽんっ」と置いただけで背景が消えたので、それはもう感動しました。
望:あとはこの、フォントの配置方法を提案してくれる「スタイル」の機能も面白いですね。すごいなって。日本語に完全に対応しているのが本当に嬉しいんですよね。イメージした通りのものが作れるんだな、って思えるので。たとえばこういうテンプレートを見ても、これは野球のテンプレートですけど、テキストをスイーツとかに変えるだけでも瞬時に想像できるので、イメージがつかみやすいです。
下部のホイールを回すことで、Creative Cloud Expressが様々なフォントスタイルを提案してくれる。
ーー制作物の完成をイメージしながらスマートフォンですぐに作れるというのがいいですね。SNSへの投稿のほか、どんな活用が考えられますか?
望:メニューやポスターも作りたいです。あと、Adobe Expressは作ったクリエイティブのサイズや比率を自動で変更できるので、一つのファイルをいろんな形に出力できるのも便利ですね。例えばチラシを作るとしても、Instagramに投稿するなら正方形も、ストーリー用の長方形も欲しいし、店舗に置くA4サイズのチラシも欲しい、みたいなときにこれまではサイズごとに全部作り直していたんです。ちょっとずつ引き延ばして、場所が余ったりして、結局ファイルが8個できた……みたいになっていたので。
雄一:画像ファイルは一度作ってしまうと比率が固定されているので、面倒くさいですよね。どう分けたらいいのかわからなかったので、Adobe Expressのように1つのファイルで簡単に比率を変えられるのは、とてもやりやすいと思います。
「サイズ変更」の画面では、さまざまな縮尺のファイルを確認して出力できる。
ーー最後に今後の展望をお聞かせいただければと思います。
雄一:いまは冷凍チュロスの販売準備をしていますが、これを皮切りにキッチンカーだけでなく、事業者さん向けの卸売など、様々に展開できればと思っています。
ーー冷凍チュロスのWEBサイトに載せる画像やパッケージの作成などにも、Adobe Expressを便利に使えそうですね。
2人:絶対使います!