リアルすぎる令和のアラサーの苦悩 『30までにとうるさくて』が刺さる3つの理由

『30までにとうるさくて』が刺さる3つの理由

 とかく、「30までに」という言葉はどこか女性を焦らせるものだ。物事があっという間に変わっていく世の中で、この事実だけが何十年も変わらないのはある意味すごいことのような気もする。

 大人になれば嫌でも、重大な人生の選択を迫られることもある。しかし、時代とともに女性たちの悩みも、複雑に変容してきている。恋愛、結婚、妊娠、キャリア……何をどう選べばいいのか、正解はないけれど誰かに共感してほしい、背中を押してほしいことだってあるだろう。

 ABEMAで放送中のオリジナルドラマ『30までにとうるさくて』では、そんな悩めるアラサー女子の生きる日々を、これでもかというほどリアルに描く。都会で暮らす、痛いほど等身大な登場人物のアラサー女子たちの人生ドラマが、女性から多くの共感を集め、今期No.1ドラマとの声もSNSで投稿されているその理由とは。

「友だちから聞く近況報告」くらい、リアルな登場人物たちに共感

 本作には、それぞれ仕事や人生の価値観が違う4人の女性が登場する。

『30までにとうるさくて』場面写真

 彼氏とのセックスレスに悩み、一時の快楽に手を伸ばしてしまうバリキャリ女子・美山遥。

 恋愛にはあまり興味が持てないが、子どもを持ちたいという希望を持つ起業家・三浦恭子。

 恋愛感情よりも、相手の年収を重視した婚活に励むも難航している社長秘書・藤沢花音。

 女性のパートナーと交際しながらも、世間体に悩まされることも多いクリエイター・佐倉詩。

 それぞれ思い描く将来像も違いそうな4人だが、だからこそ登場人物の誰かしらに自己投影ができる。自分と重ね合わせないとしても、身の回りの友人に同じ悩みを抱える人が一人もいないという女性はなかなかいないのではないだろうか。「先週行った飲み会で、そんな話もあったなあ」と思うほど、登場人物の悩みや人間性は、現代の女性像をしっかり反映している。

『30までにとうるさくて』場面写真

 現実を生きる私たちと同じように、彼女たちの人生はいつも順風満帆というわけでもない。例えばバリキャリ女子の遥は、同棲中の彼氏がいるにもかかわらず、時として一夜限りの刺激的な夜を過ごしてしまうこともある。世間や周りから見て「明らかにダメ」と言われそうな行動を、押さえられない夜があるのだ。

 わかっていても茨の道を進もうとしてしまうことを、世間や身の回りの友人たちに共感してもらえない女性もいるだろう。でも自分たちと同じように、登場人物たちはいわゆる”迷走”をしながら、毎日を生きる。年齢の近い登場人物たちが悩みながら暮らす日々は「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と、どこか包み込んでくれるような安心感を与えてくれる。

センシティブな悩みでも真摯に向き合う姿に背中を押される

『30までにとうるさくて』場面写真

 彼女たちの悩みは女性ならよくある内容でありながらも、誰にでも相談できるほど気軽とでもないものも多い。セックスレス、パートナー以外との性行為、婚活、妊活……。価値観次第で意見が大きく別れそうで、現実では友人に相談するのを憚ってしまう人もいるのではないだろうか。

 ところが登場人物たちは、それぞれ価値観が違くとも、お互いの意見をうまく受け入れながら互いの相談に乗り合う。自分の悩みに近いものがあれば「そんな意見もあるんだな」と、自分が相談に乗ってもらったような気持ちになる人もいるかもしれない。

 センシティブな悩みさえも共有し合う彼女たちを見ていると、自分も誰かに話してみたいなと、背中を押されることもあるだろう。彼女たちの行動はあくまで「一例」だが、自分と似た悩みを抱える女性が何を考え、どのような選択を取っていくのかには興味を持たざるを得ない。

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