QRコードでスキャンして聴く? 書籍のDXは“非接触”サービスでますます多様化へ

書籍のDXはますます多様化へ

 「紙の本が売れなくなった」「本を読まなくなった」と嘆く声を聞くことが多くなった。中国でもデジタル化が急速にすすみ、さらにコロナ禍の影響を受け、オンラインによる書籍購入や電子書籍へのニーズが高まり、書店のリアル店舗は、これまでのような、店舗で本を陳列し販売するだけでは生き残っていけない時代になってきた。書店は新たな「転換期」を迎え、「革新(イノベーション)」の必要に迫られている。

 上海でも、オフィスビルや地下鉄の連絡通路など多くの場所に少しずつだが、「無人書店」や「無人図書館」が設置されてきた。書店や図書館が積極的に展開を始めているのだ。

「スキャンするだけで無料視聴」できるデジタル図書館
「スキャンするだけで無料視聴」できるデジタル図書館

 もちろん、リアル店舗自体もカフェ、ギャラリー、インテリア雑貨などと「書店+(プラス)」といった業種を超えたコラボが続々と登場し、複合型書店が定番スタイルになるなど市場も大きな変化が起きている。2020年にオープンして話題となった「蔦屋書店」などもその代表だが、今やオンラインで便利に本が購入できる時代、書店は本を販売するだけではなく、体験型の「コミュニティ」書店へと変わりつつある。

耳で“聴ける”本はジャンルもさまざま。
耳で“聴ける”本はジャンルもさまざま。

 電子書籍が主流の上海の通勤光景を見ると、日本のそれと違うところがすぐに分かる。日本の通勤電車では、新聞や単行本を読む人も見かけるが、上海で見かけるのはほとんどスマートフォンを見ている光景だ。ニュースや小説、ゲームなど用途は様々だが、目はスマートフォンの画面に釘付け。

 ただ、こうなると、ほとんど1日、パソコンやスマートフォンに向かっていることもあり、視力の低下や目の疲れなども問題視されている。そこで新たに注目を集めているのが、「オーディオブック」、耳で聴く“読書”である。ちなみに、音声配信プラットフォームアプリ「喜馬拉雅(ヒマラヤ)」では、様々なコンテンツを聴くことができ、2019年で中国におけるダウンロード数が6億以上と大ヒットしている。

QRコードをスキャンすると、このように無料で視聴できる
QRコードをスキャンすると、このように無料で視聴できる

 携帯小説アプリも目で読む以外に、耳で聴くサービス(一部有料)を始めた。興味深いのが多様な音声サービスで、例えば朗読の声も男性、女性から選べるだけでなく、声のトーンも好みで選択できる。小説の内容で聞き分けができるのも飽きずに聴けて魅力的だ。目で読むのとどちらが良いのか一概に言えないが、本の内容によっては「聴く」方が便利で、頭に入りやすいという声もある。

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