ベートーベンの未完交響曲「交響曲第10番」をAIが完成させ、演奏まで実現する

ベートーベンの未完交響曲をAIが完成させる

 ベートーベンの未完交響曲として知られる「交響曲第10番」をAIが完成させ、AIにより手がけられたその楽曲を披露するコンサートが9月上旬、スイスで行われた。

 ベートーベンの死後、「交響曲第10番」の断片的な楽譜をひとつひとつ繋ぎ合わせて完成させる試みが幾人かの音楽家らによってなされていた。しかしながら、その残された楽譜の解読は困難を極めていた。

 そんななか、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のフローリアン・コロンボ博士を筆頭に研究プロジェクトが発足。チェロの演奏家でもあるコロンボ博士らは1年間にわたる研究の末、ベートーベンの弦楽四重奏曲16作品を元にベートーベンの楽曲形式を学習させたAIアルゴリズムをもって、「BeethovANN Symphony 10.1.」と呼ばれる4分間の楽曲を生成することに成功した。

 そしてこのたび、スイスの交響楽団「ネクサス・オーケストラ」(スイスのフランス語コミュニティーの中の若手音楽者集団を前身とする)によって演奏が実現。演奏は9月2日~3日の2日間にわたり行われ、2日の夜はサール・メトロポール、その翌日はジュネーブ市内のヴィクトリアホールにて演奏が披露された。

 最終スコアは演奏の数時間前に生成・印刷された。オーケストラの指揮を担当したギヨーム・バーニー氏は印刷された1ページを手にとり、「まるで楽曲の誕生の瞬間を見ているようだ」と現地メディアに対しコメントした。

 楽曲の中で重要な役割を担っているのがコードだ。ベートーベンの弦楽四重奏16作品を元にデータセットの生成に携わったスイス連邦工科大学の研究グループによると、ベートーベンの弦楽四重奏はさまざまなタイプのコードによって構成されており、その数は何千単位にも及ぶという。数ある音楽家の中でもベートーベンの作品に真っ先に着手した理由はここにあると言える。

 今回の快挙は海外メディアでも取り上げられ、コロンボ博士は「人間による介入なしにオーケストラの譜面スコアを完全なレベルで生成可能である」とAFPの取材に対しコメント。これはいずれ人間の作曲家がAIにより代替され得るという事態を示唆しているわけではなく、あくまでも人間の作曲家によるクリエイティブな作業を助けるツールのひとつに過ぎないとして付言した。



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