VTuber界随一の“エンターテイナー” ジョー・力一のトークと音楽にみる個性
ピンク・明るい青緑・紫灰の三色で染められた髪の毛、白ベース・目元の黒アイシャドウ・涙を化粧したピエロフェイス。奇抜なルックスからイロモノな外見であるにじさんじSEEDs2期生出身のジョー・力一 (じょー・りきいち)が、先日9月9日に配信デビュー3周年を迎えた。
今回は彼について取り上げるまえに、いちど公式サイトの紹介文を載せてみたいと思う。
正体不明のピエロ。ティーンエイジの終わりに突如天啓を受けて以来、フリーランスの道化師として活動中。トリッキーな容姿や言動とは裏腹に寂しがり屋で、常に人とのふれあいを求めている。が、ピエロゆえに孤独である。
フレーバーテキストなので、あまり気にしないリスナー、あるいは全く知らないかたもいるだろう。確かにキャラクターらしさを押し出すために、大仰しく書いてはいるが、ヴァーチャルライバーとして人気を博している今となっては、「道化師」という言葉がここまで似合う存在もいないだろう。
にじさんじファンの多くは、ジョー・力一の特徴として、一人コントのように成立するトーク力をまずは挙げるだろう。
朝8時開始ながら「深夜ラジオのようなテンション」でトークがすすむ「ジョー・力一の深夜32時」、日常生活の些細なことを取り上げてなんとなく思いついたネタから話をふくらませていく「りきいちファーム」などのラジオ配信を中心に、盟友・舞元啓介との「舞元力一」なども数年来に渡って配信されており、ほぼ週1〜2ペースでで3時間以上のラジオ配信をこなしつづけてきた。
リスナーからのトークテーマを集めてトークを進めることもあるが、「こしあんか? つぶあんか?」「古畑任三郎の大会がしてみたい」「『オタク特有の〇〇』で褒め言葉を探す」など、友人との会話中にも通じそうな発想とノリ、そこから面白おかしく話を転がしていく粘り強さも含め、にじさんじ男性ライバーでも一・二を争うトーク力を持つ。
バックボーンに感じられるのは、タモリ・みのもんた・明石家さんまらなど一世を風靡したトークショーの司会者やバラエティ番組のテンションだ。深夜ラジオのやりたい放題さにも近いバカバカしさと一般的な良識とを天秤にかけ、より面白い方向へともっていこうとしていくエスプリには、にじさんじ内外のVTuberも助けられる場面が何度となくある。
こういった「人を笑わせていたい」「周りを和ませたい」という気持ちはオフの場面でも発揮され、「ライブ直前、脇の方で急に踊りだしてびっくりした」といった報告もあるなど、茶目っ気ある性格は配信だけではないのが伝わってくる。
緑仙の記事にも書かせていただいたが、「自前のネットバラエティ番組の制作と配信」が進む現在のにじさんじにおいて、彼の力は無くてはならない。ウィットに富んだ言葉遣い・振る舞いが頼られ、にじさんじのクイズ番組『にじクイ』では司会を務めるなど、各種イベントにも引っ張りだこ。単にトーク力を求められているだけではなく、制作内容などに少しずつ関わる場面が増えていることを明かしている。