VTuberのリアリティを知る三枝明那は、地道な努力で“ポジティブな未来”を切り開く

 VTuber・バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の一員として活動をするには、オーディションなどを通過しないといけない、とこれまでは語られてきた。今年に入ってここに大きな変化があり、これまで多くの人が門を叩いた「常設オーディション」が廃止されたのだ。

 これに変わるようにして、今年6月から7月にかけ、にじさんじ発タレント育成プロジェクト「バーチャル・タレント・アカデミー」が開講し、第一期生となる候補生募集を始めた。いわゆる養成所ともいえようこのプロジェクトに加え、不定期で行なわれるであろうオーディションを含めれば、徐々に芸能事務所に近いビジネスモデルへと変わってきているのがはっきりとわかる。

 2018年12月から数年に渡って開設されていた「常設オーディション」は、配信やストリーマー・歌手・クリエイター等の経験者向けの常設募集枠として設けられていた。この流れを受けて、2019年には数多くのバーチャルライバー(≒Vtuber)がデビューすることになり、現在では海外所属を含め、150人近い人数を揃える礎にもなっている。このオーディション枠や判断基準は多方面に影響力を及ぼし始めており、いま現在のにじさんじをシンボライズするものだったと言い換えられる。

 当時のオーディションも苛烈を極めており、バーチャルライバーになるために、うまくアピールしなければと思い切った方法をとった人もいるだろう。今回紹介する三枝明那がオーディション用に撮影した動画は、「スマートフォンアプリ『斎藤さん』でマッチングした人に歌の評価をしてもらう」というもの。想像の斜め上から飛び出てきたような、にじさんじらしいアイディア力を備えていたのが良くわかるエピソードだ。

 2019年4月7日にYouTubeにて初配信、同期としてデビューした女性ライバーの愛園愛美とともに現在3年目の活動を送っている三枝。彼の配信といえば、うるさいくらいの元気さがまず思い浮かべるかたもいるだろう。関西圏生まれということもあってか、ボケるにしてもツッコむにしてもどこかオーバーリアクション気味で、リスナーからしてみると「そこまでオーバーリアクションする?」とおもわず笑ってしまうことも多々ある。

 防音室完備の新居に引っ越したあと、歌のレコーディングをしたところ、声が防音室を貫通してしまい、隣人から注意されたというエピソードを明かしていたこともあるが、それも納得してしまえるほどだ。

 そんな三枝は甘いマスクと優しいな声色の持ち主であり、同期である愛園愛美との紅ズワイガニ、黛灰・不破湊とのメッシャーズなど、事務所内ユニットを多数組みながら、端正なルックス×お笑い気質というギャップと元気の良さで、明るいムードにしてしまえるのが彼の魅力だろう。

 彼が持っていた才能や志向性を語るうえで一番重要なのは、やはり音楽と歌だ。彼の動画や歌配信を見ていると、物心がついたときから歌うことが好きで、嵐やいきものがかりといったJ-POPから、andymoriやサカナクションといったロックバンド、ボーカロイド楽曲も好んでいることがわかる。

テレキャスタービーボーイ(cover) – 三枝明那

 活動当初から「武道館ライブ」を夢に掲げていた彼にとって、2020年1月から活動をスタートしたRain Dropsの活動は、非常に大きな影響を与えてきたといえよう。デビューから10か月ほどでの大抜擢で、実はメンバーのなかでは彼がもっともデビューが遅かったのだが、ムードメーカーな役割に徹しているのを見るかぎり、そんな様子は微塵も感じさせない。彼が持ち寄ったポジティブな空気は、Rain Dropsにとって確実に良い影響を与えているといえよう。

 彼の「歌」に対する熱意はにじさんじ内の男性ライバーでも有数で、「歌ってみた」動画の数は2021年8月末現在では20曲ほどだが、カラオケ配信の数が多く、しかも事前告知なしで突発的に配信することも少なくない。

 前回紹介した緑仙の主催企画として行われた「邦ロックリレー配信」「邦ロックリレー配信02」「元気になるにじさんじ歌配信リレー!」にも参加し、その後には同企画を受け継ぐように「にじさんじメンズ限定歌ってみたリレー配信」を主催。スタジオから生中継でトップバッターを務め、同配信中にYouTube登録者が20万人を突破するなど、メモリアルかつ印象的な配信だった。



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