インパクト少なめ? Apple新製品の真意は「ユーザー体験の向上」が焦点か

インパクト少なめのApple新製品の真意

 米Appleは秋のイベントにて「iPhone 13シリーズ」「Apple Watch Series 7」「新しいiPad mini」「新しいiPad」を発表した。イベントは大盛り上がりというわけにはいかなかったが、同社の焦点はユーザー体験の向上にあったようだ。

動画撮影で差がつくカメラ

 上位モデルに相当する「iPhone 13 Pro」と「iPhone 13 Pro Max」では、カメラ性能の向上の解説に長い時間が割かれた。3倍の光学ズームや明るい新センサーとレンズ、全カメラで利用可能なナイトモードに超広角カメラのマクロ撮影など、どれも便利に利用できることだろう。

 特に注目したいのが、動画撮影時にボケ効果が利用できる「シネマティックモード」だ。すでにiPhoneだけでなくAndroidスマートフォンでも、ソフトウェアにより写真撮影時に擬似的なボケ効果を再現する機能は一般的となっている。しかし動画撮影でのボケ効果は、大きなイメージセンサーと明るいレンズをもつ一眼デジカメの専売特許だった。しかしiPhone 13 Pro/Pro Maxのシネマティックモードを使えば、スマートフォンでも映画やドキュメンタリーのような被写体深度のコントロールが可能になる。

 一方で期待されていた「ミリ波」での5G通信が引き続き米国に限られる点には、期待はずれ感があった。5G通信では通信速度が速いミリ波と、より遠くまで届く「サブ6」の2種類の通信技術が存在し、ミリ波の5G通信ではゲームや動画のダウンロード速度が大幅に向上する。この点については、来年登場するであろう「iPhone 14(仮称)」にてぜひ対応地域を拡大してほしいものだ。

操作感の統一がカギの新しいiPad mini

 毎年のように新モデルが投入されるハイエンドモデルの「iPad Pro」や、ミドルレンジモデルの「iPad Air」と比べ、画面サイズの小さなiPad miniは何度もその存続の危機が囁かれてきた。しかし最新のデザインと機能を投入した新しいiPad miniの発表により、AppleはiPad miniがiPadファミリーにおける重要なプロダクトであることを改めて表明した。

 フラットデザインや最新プロセッサの採用も大きなトピックだが、物理ホームボタンを廃止し電源ボタンに指紋認証機能の「Touch ID」を搭載したことで、iPad Airと操作感を統一している点にも注目だ。アップルはタッチ操作による生体認証機能を「MacBook Pro」や「MacBook Air」、さらには「iMac」にも導入しており、今後も対応製品が増えそうだ。

 さらにApple Pencil(第2世代)への対応と、USB-Cポートの搭載により、iPad ProやiPad Airと周辺機器を使い回せるようになったことも大きな進化だ。今後は外出先ではiPad mini、自宅ではiPad Pro……と利用シーンにあわせて、iPadファミリーを使い分けるのもいいだろう。

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