TikTokで「コロナ偽陽性を出す方法」を説明する動画が炎上 真似した理由は「学校を休みたかった」

TikTokで「偽陽性を出す方法」を説明する動画が炎上

 偽装をすることよりも、偽装をしてまで学校に行きたくないことを問題視したほうがいいかも。

 TikTokでは日々、いろんな動画が流行っていますが、今年3月頃から爆発的に見られていたのが「新型コロナのイムノクロマトグラフィーテストで陽性を偽装する方法」だったそう。#fakecovidtestや#fakecovidtestsといったハッシュタグのついた動画で、コカコーラやレモンジュース、オレンジジュースをキットに垂らすことで、陽性反応にするものだそうです。

始まりは「暇つぶし」

 新型コロナの簡易テストキットで偽陽性を出す方法をTikTokにアップしたのは、イギリス在住のティーンエイジャーAmaarさんで、彼は「TikTokで見たことのない動画を作りたかった。学校で検査があって、偽陽性を出すことを思いついた」とinewsのインタビューに応えています。

 彼はまず初めにオレンジジュースやLynxのデオドラント、Diorのアフターシェーブローションなどで試しましたが、思うような結果には至らなかったとのこと。しかし、コメント欄に数多くのアイディアが寄せられ、レモンジュースやオレンジジュース、キウィフルーツやソーダ類の飲み物が“偽陽性”の結果を出したそうです。

 Amaarさんは面白半分でやっただけで、キットを検査に回してもいないと言っています。しかし、問題はここから。Amaarさんは冗談のつもりだったのかもしれませんが、この動画で得た知識を使って実際に学校を休む学生がでてきたのです。

濃厚接触者として2週間休みになるケースも

 偽装の結果を学校に提出し、その学生だけが休みになればいいのですが、新型コロナということもあり、濃厚接触者とみなされた友人らまでもが2週間学校を休まされる事態となっています。

 inewsは、親しい友人のひとりがCOVID-19陽性を偽装したため、2週間の隔離を言い渡された14歳の息子を持つマシューさんのケースを紹介しています。

 「息子いわく、友人はTikTokを見たそうです。TikTokには同様の動画が山ほど上がっているらしいのです。その子が陽性反応を偽装したのは、単純に学校を休みたかったからだと聞きました。その子の周りの10人ほどの親しい友人らも休むように言い渡されましたが、半分くらいの子どもたちは休みを喜んでいるようです。この動画を悪用する子どもたちが出てきています。すでに教育全体がめちゃくちゃなのに、意図的に更なる混乱を巻き起こすのは迷惑な話です」

 政府とNHSは、イムノクロマトグラフィーテストで陽性の反応が出た人には、PCR検査を受けるように勧めていますが、学校側にそれを強要することはできないのだそうです。

 マシューさんによると、この学生は教師の前でイムノクロマトグラフィーテストを2回行い、どちらも陰性が出ていることが確認されているので、学生の母親にテストの結果が正当でないことを説明し、PCR検査を行うように頼んだとのこと。

 その学生の母親は、PCR検査で陰性が出たことと、子どもが最初の検査結果を偽装したことを学校に報告することを約束してくれたそうですが、マシューさんの息子さんが再び学校に戻れる日がくるかはわかりません。

偽装陽性結果がもたらす別の問題

 というのも、息子さんは偽装を正そうとした人として議論の的となってしまっているらしいのです。

 息子さんは誰が陽性を偽装したのかを知っていますが、他の学生たちには、個人情報保護の観点で名前は明かされていません。10日間の休みをボーナスのように捉え、喜んでいる学生もいるのです。また、10日間しっかりとステイホームさせる親もいれば、特に気にせず外に出してしまう親もいて、そのスタンスはさまざま。

 そんな中、陽性反応の偽装を告発し、PCRテストをするように頼んだマシューさんと息子さんは、学友らにどう思われたでしょうか。学校に行きにくい状況になってしまってもおかしくありません。

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