神尾楓珠、板垣瑞生が演技を通して伝える「自己肯定感」の在り方 『ブラックシンデレラ』の役所から読み解く

神尾楓珠、板垣瑞生が伝える「自己肯定感」の在り方

 また、見た目で人を判断せず、相手としっかり向き合う空(板垣瑞生)の立ち振る舞いにも勇気をもらう。自分が誰かと接するとき、空のようなスタンスでいられたらどれだけ理想的だろうか。板垣の演じる空は、そう思わせる魅力を放つ。愛波の傷にも、圭吾の整形にも一切関心を見せず、自分が関わる相手の“本質”にだけ目を向ける。自分の考え方を曲げず、大勢の意見に呑まれない強さが光るキャラクターだ。空のように“容姿”の問題に関与しない姿勢を貫くことで、他者からの“容姿”へのジャッジで一喜一憂することがなくなると分かる。どんな言葉が相手を傷つけてしまうかがわからない今の時代、空のようなスタンスで生きることは、自分だけでなく相手を救うことにも繋がるだろう。

 『ブラックシンデレラ』が描く世界は、それぞれの登場人物が前向きに自分らしく生きる姿勢にフォーカスされている。こうした彼らの生き方を通して、私たちも自然と「自己肯定感を上げる」生き方を学ぶことができるのだ。コンプレックスを乗り越えるだけではなく、自分を受け入れ、「過去最高」と言えるように毎日を全力で豊かに生きる。このような熱いメッセージを受け取ることで、前を向けるようになる視聴者は多いのではないだろうか。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

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