“VRDJのパイオニア”GRIMECRAFTが語る、バーチャル・クラブ×NFTの好相性と可能性

“VRDJのパイオニア”GRIMECRAFTを直撃

「VRクラブはリアルの代替品ではない」

ーー『GRIME CANYON』をNFTとして、オークションで販売することを思いついたきっかけは? 

GRIMECRAFT:NFTとして販売することでファンからの出資を募り、そこで集まった資金をコミュニティの発展に充てたいと考えていたことがきっかけですね。今回のNFT販売の収益は、DJのギャラやGRIME CANYONの発展のために充てられますが、それは今後、"GRIME CANYON"という体験として後々、購入者に還元されることを意味します。

 また、それはNFTの購入者がGRIME CANYONの発展の過程に参加できることでもあるので、GRIME CANYONのNFTを購入することは、購入者にとって常に進化し続ける生き物のようなアート作品"リビングアートワーク"を購入したことを意味します。そのようなコミュニティにとってのエコシステムを作ることを目的に今回、NFTを販売することを決めました。

新しくNFTとしてオークション中のアクセスキー
新しくNFTとしてオークション中のアクセスキー

ーー今回のNFTにはバーチャル会場へのアクセスキーが特典として用意されていましたが、なぜ、それを特典にされたのでしょうか? 

GRIMECRAFT:ただのデジタルアート作品ではなく、購入者には先ほど言ったようにGRIME CANYOのことを常に進化する"リビングアートワーク"として捉えてほしかったのでアクセスキーを特典にしました。それとアクセスキーを持つ人にいつでもエクスクルーシヴなショーを提供したいと考えたことも理由のひとつですね。

ーー最近ではデジタルアートの販売方法としてNFTが注目を集めていますが、今後はどのように扱われていくと思いますか? 

GRIMECRAFT:デジタルの商品や体験を購入できるという点で、NFTとAR/VRの相性はすごく良いので、将来的にはアバターが身に着けることができる服のようなデジタルアイテムや、AR/VRで楽しめるイベントのアクセス権のような体験のためのNFTが増えていくと思います。

 現状、NFTの取引は高額になることが多いため、少なからず"富裕層のゲーム"のように見られる部分もあり、アメリカでは一部であまり良くないイメージも確かにあります。ただ、そういったある種の偏見が今後なくなっていけば、ラデジタルアイテムやイブ体験のNFTに対する興味ももっと広がっていくと思います。

ーーこれからNFTの販売を始めたい場合、どのサービスがおすすめですか? 

GRIMECRAFT:NFTを取り扱う有名なサービスはいくつかありますが、誰でもすぐに始めることができるのがNFTの良さでもあるので、サービスを選ぶ上ではそれが大きなポイントになると思います。実際にGRIME CANYONのNFTでも使っている「Rarible」というサービスは、オークションが始まってから値段がついた時点で手数料が引かれる形なので初期費用を用意する必要がありません。そういう参入障壁の低いサービスをおすすめします。

ーーNFTは今後、ミュージシャンやクリエイターのサスティナブルな活動を支えることができると思いますか? 

GRIMECRAFT:現状、自分の音源を販売するためにNFTを使うミュージシャンは決して少なくありません。ただ、そのやり方だと別にCDを売っているのとなんら変わりはないと思っています。それよりも今回のGRIME CANYONのNFTのように一次販売市場での販売による収益がDJに支払われるだけでなく、二次販売市場以降の販売でも収益が支払われるようになることの方が重要だと思います。そうなればNFTが販売される限り、DJに収益がもたらされることになるので、それはサスティナブルだと言えると思います。

ーー現在はVRのクラブを運営されていますが、それ以外にVRChatの中で作ってみたいものはありますか?

GRIMECRAFT:今まで自分が作ってきたゲームなんかはもうすでにVRでも作れたりするので、時間があればそんなこともしてみたいですね。それと今は友達の自宅を再現したワールドを作るのを手伝ったりもしています。そういった形で友達と交流できるのもVRの良いところですし、やってみたいアイデアは本当に沢山あります。その意味でVRは本当に人間の可能性を拡張させる空間だと思います。

GRIME CRAFT
GRIME CRAFT
GRIME CANYONの様子
Club Magentaの様子

ーー今後の展望について教えてください。

GRIMECRAFT:GRIME CANYONのデザイン関連のアップデートはもちろんですが、NFTの購入者しか使えないグリーンルームを作ったり、次のバーチャルクラブへのアクセスになるようなものも考えています。また、VRDJを呼んで、VRと同じビジュアルをスクリーンに映すような形で実際にチケットも販売するようなXRイベントを開催してみたいですね。

 VRのクラブを主催する上で、僕はいつもリアルの代替品にしないということを心がけています。だから、今後もGRIME CANYONではVRのクラブでしかできないことをやっていく予定ですし、仮にXRのイベントを開催したとしてもどちらの代替品にもならないような、また"別のもの"として打ち出すことができたらと思っています。

Hiroki Ueda:VRchatには本当にすごい可能性を感じており、もっと多くの人に体験してもらいたく、最近では自分がインターネットと親和性があると思うDJや親しい友人にVRchatを体験してもらい、とてもいいフィードバックと可能性を感じてもらっています。

 その中の何人かと近々イベントを開催できたらと思っています。今後はリアル世界で活動しているもっとたくさんのDJはもちろん、今クラブに遊びに行けていないクラバーの方たちにもVRDJシーンを知ってもらいたいですね。

 そして何より自分が大好きなVRchatにはVRDJシーンだけでなく、国内外で色々な多様性に富んだコミュニティができているので、もっと多くの方とこの感動と体験を共有できたらいいなと思っています。

■関連リンク
Grimecraft Twitter:https://twitter.com/grimecraft?s=11
Hiroki Ueda Twitter:https://twitter.com/H1rok1u33

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる