『VALORANT』モバイル版リリースを発表 世界大会では100万人が同時視聴

『VALORANT』モバイル版リリースを発表

 1年前に正式リリースされたタクティカルFPSゲーム『VALORANT』は、新たな展開を迎えることがわかった。新展開が成功すれば、さらなるプレイヤーを取り込むと予想される。最近開催された世界大会も大いに盛り上がった。

モバイル版発表は想定内

 『VALORANT』を開発・提供するRiot Gamesは2日、同ゲームのモバイル版『VAROLANT Mobile』をリリースすることを発表した。具体的なリリース時期や対応機種といった詳細は、後日発表する。

 『VALORANT』とは、5人編成のプレイヤーチームが攻守に分かれて対戦するFPSゲームだ(ゲームシステムの詳細についてはこちらの記事を参照)。現時点ではWindows PCのみに対応しているが、モバイル版のリリースによってPCを所有していないプレイヤーも同ゲームに参加できるようになる。

 今回の発表に関して、海外メディアは想定された内容と受け止めている。例えば、テック系メディア『The Verge』の2日付の記事は、モバイル版のリリースは「それほど驚くべきはない」と報じている。というのも、Riotは同社の人気ゲーム『League of Legends』のモバイル版『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』をすでにリリースしていたからだ。さらには、人気シューティングゲームのモバイル版がリリースされた事例は『PUBG MOBILE』や『Call of Duty:Mobile』のように多数あり、人気が出ればモバイル版も提供するのは当然の流れとも言える。

 The Vergeは、VAROLANTモバイル版とは別に同ゲームのスピンオフコンテンツの展開も報じている。この動向はLeague of Legendsにおけるスピンオフ展開を模範にしており、デジタルカードゲームやコミック、さらにはアニメ化が想定されている。

紆余曲折の1年間

 モバイル版リリースにこぎ着けたVALORANTは、1年前に正式リリースされてからずっと順風満帆だったわけではない。エンタメ系メディア『SCREEN RANT』が4月に公開した記事では、同ゲームにおける最近までのプレイヤー数の推移を考察している。

 VALORANTは昨年4月にクローズドベータ版の提供が始まり、Riotによればベータ版提供期間中に平均して毎日300万人がプレイし、ゲーム実況配信プラットフォームのTwitchで4億7,000万時間視聴された。しかし、正式リリースされてからはプレイヤー数の減少が見られた。

 VALORANTのプレイヤー数が再び増加するようになったのは、多数のトーナメント大会を継続的に開催したからと見られている。こうしたeスポーツ大会でゲームの注目度を上げる手法は、League of Legendsですでに確立されたものだった。

 現在のVALORANTの注目度は、Twitchの各種統計情報を公開しているウェブサイトであるTwitch Trackerを閲覧すればわかる。直近7日間のTwitch視聴者数をゲームごとに集計したTOP GAMES ON TWITCHランキングによると、6月3日時点でVAROLANTは4位であり、フォートナイトやApex Legendsより上位である(下のグラフ参照)。


 ちなみに1位の「Just Chatting」とは、特定のゲームプレイではなく雑談を配信するカテゴリーである。本来はゲーム実況を配信するプラットフォームであるTwitchで雑談が人気なのは、実況者と視聴者のあいだでゲームプレイにとどまらないコミュニティが形成されている証左だろう。

1分当たり80万人が視聴

 VALORANTのトーナメント大会の近況に関しては、モバイル版リリースを発表したプレスリリースで合わせて報告されている。Riotは年間を通じて開催するeスポーツツアー「VALORANT Champions Tour」を立ち上げ、先月には初の国際トーナメント大会「Masters Stage2」がアイスランドの首都レイキャビクで行われた。同大会の決勝戦では100万人が同時視聴して、1分あたりの平均視聴者は80万人を超えた。

 RiotはVALORANTに関する各種統計情報も公開し、同ゲームが正式リリースされてから1周年を迎えた現時点までの月間平均プレイヤー数は1,400万人を超え、対戦数は5億回を突破したことが明らかになった。

 VAROLANTが1周年を迎えたことを祝して、1ヶ月間にわたりコミュニティーメンバー向けゲーム内報酬やイニシアティブが贈られることも発表された。具体的には、6月中にプレイヤーは交換可能なプレイヤーカードや無料イベントパスを含む、記念デジタルコンテンツを受け取れる。

 以上のようにVAROLANTは、1周年を迎えてますます活況を呈している。モバイル版がリリースされたあかつきには、さらに多くのプレイヤーが参入してゲームプレイにとどまらないコミュニティ文化が形成されるかも知れない。

トップ画像出典:PR TIMESのVALORANTプレスリリースから画像を引用

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

〈Source〉
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000246.000024470.html
https://www.theverge.com/2021/6/2/22458279/valorant-mobile-spinoff-riot-games
https://screenrant.com/valorant-player-count-how-many-fps-riot-games/#:~:text=The%20only%20official%20player%20population,million%2C%20as%20reported%20by%20PCGamer.
https://twitchtracker.com/statistics/games

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