神はサイコロを振らない・柳田周作に聞く“アーティストのTikTok活用法” 「考えれば考えるほどつまらなくなる」 

神はサイコロを振らない・柳田周作に聞く“アーティストのTikTok活用法” 「考えれば考えるほどつまらなくなる」 

 ロックバンド・神はサイコロを振らないの新曲「巡る巡る」が、「TikTok」の新CMソングとして放送され、大きな注目を集めている。

成田凌
 成田凌、小日向文世が出演するショートムービープラットフォーム「TikTok」の新CM“『新しい出会いは、TikTokから』篇”は、新生活・新しい出会いの季節にあわせ、TikTokでも様々な動画に出会ってみようと言うメッセージが込められている。このCMのために書き下ろされた、神はサイコロを振らないの新曲「巡る巡る」は、季節が巡り、変わってゆく日々の中で新しい出会いを重ねながらも、自分を信じて歩んでいこうというメッセージが込められた楽曲だ。

新しい出会いは、TikTokから篇

 リアルサウンドでは、“神サイ”のボーカリスト・柳田周作にインタビュー。アーティストはTikTokをどう使うべきか?というテーマのもと、活用法や可能性、「巡る巡る」の制作などについて聞いた。(森 朋之)

「僕らはいい意味でこだわりがない」

——柳田さんは“神はサイコロを振らない”“柳田周作”としてTikTokを利用されてますが、使い始めたのはいつ頃ですか?

柳田:初めて投稿したのは3年くらい前ですね。1本だけお試しみたいな感じでやってみたんですけど、自分の周りではそこまで根付いてる感じではなくて、(アカウントを)閉じちゃったんです。本格的に使い始めたのは、去年、コロナ禍になってからですね。ちょうど1年くらい前ですけど、決まっていたツアーなどが全部なくなって、「ライブ以外で何か発信しないとヤバイ」という話になって。メンバーとミーティングして、TikTokをしっかりやってみることにしたんです。

——メンバーと楽屋で談笑していたり、料理している動画だったり、音楽以外のコンテンツも多いですよね。

柳田:メンバーと「音楽系の動画はなるべくやめよう」と話していたんですよ。昨年ライブができなくなって、「SNSで戦うしかない」という状況になってから、いろんなミュージシャンが弾き語りやカバーの動画をアップしていたじゃないですか。ミュージシャンだから音楽に特化したコンテンツが増えるのは当たり前なんですけど、僕らは「まわりと同じことをやっても意味がない」と思って。「まずは自分たちに興味を持ってもらって、最終的に神サイの音楽に辿り着いてくれればいい」という判断で、いろんな動画をあげていたんです。唐揚げを作ってる動画とか(笑)。実際にやってみると、音楽系より、おもしろい動画のほうがよく見られるんですよ。普通に歌っても、なかなか再生数が伸びなかったりするんだけど、楽屋でしょうもないダンスを踊ってるとかはけっこう見られて。普通の高校生がやっていることと変わらないんですけどね(笑)。

——その場のノリで動画を撮ることも?

柳田:ほぼノリですね(笑)。考えれば考えるほどつまらなくなっちゃうので。この前、入浴剤を浴槽にぶちまける動画をアップしたんです。ホントに思いつきだったんですけど、百数十万回くらい再生されて。何がウケるかはわからないから、勢いでやったほうがいいのかなと。

——なるほど(笑)。柳田さんをはじめ、TikToKを通して、メンバーのキャラクターや素の表情が伝わりそうですね。

柳田:そうですね。メンバーそれぞれキャラがあるし、全員に目を向けてもらえて、魅力に気付いてもらえるのもうれしくて。これまでは“ボーカルの柳田が神サイの中心”という印象があったと思うけど、最近は“4人で神サイ”と認識してもらってるんじゃないかな。

——TikTokで発信するようになって、従来のファン以外にも神サイの存在が浸透してきた実感はありますか?

柳田:ありますね。いまって、ロックバンドがチャートに食い込みづらい雰囲気があるじゃないですか。ライブも難しくなって、ライブハウスに入りづらい状況のなか、TikTokをきっかけに知ってもらうのはすごく大事だし、チャンスはたくさん転がっていると思うんですよね。僕らもTikTokを始めてから、インスタのフォロワー数が2万人くらい増えたんですよ。それくらい勢いのあるプラットフォームだし、いろいろあるSNSの中でも中心的な存在だと思いますね。

——やり方次第で、いろいろな可能性がありそうですね。

柳田:そう思います。バンドによって考え方は違っていて、たとえばライブハウスで叩き上げてきたバンドのなかは、SNSを使うことに抵抗がある人もいる。SNSを使わず、ライブで勝負するのも一つの美学だと思うけど、僕らはそうじゃなくて。音楽自体もサブスクで聴く時代だし、スマホでディグって、イヤホンで聴く人がほとんどじゃないですか。すべてがスマホやパソコンのなかで完結してるんだから、SNSはがんがん使ったほうがいいという考え方なんですよ。僕らも使い始めてからわかったんですけど、TikTokは若い子たちだけじゃなくて、年配の方も使っているし、著名人の方も利用していて。メチャクチャ広い世界なんですよね。

——神サイの代表曲「夜永唄」も、TikTokでバズったことがヒットに結びついた印象があります。

柳田:それはめちゃくちゃデカいです。以前はライブを通して少しずつ知ってもらう感じでしたが、TikTokのなかでいろんな人が「夜永唄」を使ってくれたり、カバーしてくれたことで、たくさんの人に届いて。シンガーソングライターの岡田拓也くんがあげてくれた動画も大きかったですね。僕が「今日は唐揚げ!」って叫んでる動画と「夜永唄」を弾き語りしている映像を合わせてアップしてくれたんですけど、それがめちゃくちゃバズって。その動画で「夜永唄」と神サイを知ってくれた人も多いんです。

——神サイのカッコ良さと親しみやすさがバランスよく伝わる動画ですね。

柳田:ホントにそうなんですよ! その後、岡田くんと仲良くなったんですけど、彼はSNSの使い方をしっかり考えながら自分を打ち出していて。自分たちももっと詳しくならないと、置いていかれちゃうなって。

——TikTokは楽曲のプロモーションにも活用できるはずだと?

柳田:そうですね。いろいろな見せ方、打ち出し方があるし、TikTokでバズることにはとてつもない力があるので。自分たちが学生の頃、クラスのなかの話題は前日に観たドラマやバラエティの話だったんですけど、いまは「TiKTokでどんな歌やコンテンツが流行ってるか」だと思うんです。それはもう圧倒的なパワーですよね。

——TikTok発のヒット曲やアーティストも増えていて。メジャーレーベルのスタッフも、TikTokの動向は常にチェックしていますからね。

柳田:TikTokで弾き語り動画が話題になって『ミュージックステーション』に出られたシンガーソングライターさんもいますからね。顔を出さなくてもいいし、音楽がよければ一気に世に出られる可能性があるっていう。夢がありますよ。TikTokドリームですね(笑)。僕らもその恩恵を受けていると思うし。

——ここまでTikTokと親和性があるロックバンドは稀だと思います。

柳田:振り返ってみると、神サイが最初に知られるようになったのも、動画投稿サイトがきっかけだったんですよ。もちろんライブもやってたし、「機材車に寝泊まりして全国ツアー」というザ・バンドマンの戦い方もしてんだけど、一方ではインターネット、SNSに救われてきたバンドでもあって。今も楽しんでやれているのはいいことだと思います。何て言うか、僕らはいい意味でこだわりがないんですよ。「ロックバンドはこうじゃないといけない」という頑な感じはないし、時代の流れに対して、柔軟に対応してきたと思ってるので。そのスタイルは、今後も続けていきたいですね。

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