神はサイコロを振らない・柳田周作に聞く“アーティストのTikTok活用法” 「考えれば考えるほどつまらなくなる」 

神サイ・柳田に聞く“TikTok活用法”

「曲を作るときからバズを狙っても、バズらない気がしている」

——では、「TikTok」の新CMソング「巡る巡る」について聞かせてください。TikTokの新CM“『新しい出会いは、TikTokから』篇”のCMソングとして話題を集めていますが、神サイにとっても今までなかったタイプの曲だなと。

柳田:うん、新しいですね。僕らはどちらかというと“闇”属性というか(笑)、シリアスだったり切ない曲が多くて、「巡る巡る」のような前向きでポジティブな曲はあまりなかったので。CM制作サイドにコンセプトを聞かせてもらったとき、「こんな話が自分たちのところに飛び込んでくるんだ?!」ってワクワクしたんですよね。「新しい季節が動き出して、心も体もジッとしていられない」というイメージだったんですが、それは自分たちともすごくリンクしていて。2020年はいろんなことがありましたけど、バンドとしてはいい方向に進んでいると思っているんです。以前は「明日、どうやって暮らしていこう」みたいな生活だったんだけど、今はひたすら音楽と向き合えているし、こんなに幸せなことはないなって。未来に対するポジティブな気持ちを、夢を抱えている学生のみなさん、新社会人のみなさんと重ねながら歌詞を書くのはすごく楽しかったです。

——新生活に対する期待、未来への希望というテーマが、神サイの現状ともしっかりリンクしていた。

柳田:はい。あとは「社会に出れば星の数ほど出会いがあって、そのたびに世界は広がる」というメッセージもあって。神サイは以前から、(歌詞のなかで)可能性や夢を“星”に例えることが幾度となくあったので、そこもつながっていましたね。疾走感がある曲なので、早朝ランニングのときにも合うと思うんですよ。僕もたまに走ってるんですけど、「巡る巡る」を聴きながら走ると、生きる活力が湧いてきて。我ながらいい曲だなって思いました(笑)。

——シンセの音色を活かしたサウンドメイクも新鮮でした。

柳田:曲調やサウンドは自然と浮かんできたんですけど、最初の段階からシンセは入っていて。そこからバンドサウンドやギターの音を作っていった感じですね。レコーディングしながら構成を考えることも多いんですけど、今回はベースの桐木(岳貢)が「ライブでもシンセベースを弾こうかな」と言っていて。そうやって幅が広がるのも楽しいですね。

——それも神サイの自由度の高さですよね。

柳田:確かに、めっちゃ自由に作らせてもらってます(笑)。僕が「こういう感じでやりたい」ということが多いんですけど、メンバーも「いいじゃん」って言ってくれるんですよね。「巡る巡る」のアレンジにしても、「俺はベースしか弾きたくない」って言われてもおかしくないじゃないですか(笑)。メンバーが新しいことに積極的なのは助かっていますね。

——楽曲のリリースに先がけて、TikTokで「巡る巡る」の弾き語り映像をアップしてましたね。

@uentudaikon

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♬ 巡る巡る - 柳田周作

柳田:60秒バージョンで弾き語りしたんですけど、ちょうどCMで使われる部分を歌ったたんですよ。CMで流れているアレンジとはまた違う感じになっているし、歌モノとして聴いてもらえたら嬉しいですね。やっぱり神サイはメロディラインが命なので。

——今後はいろいろな人が「巡る巡る」を使った動画をあげることになると思いますが、曲を作る段階で“TikTokでの使いやすさ”も意識してました?

柳田:そこは難しいところですよね。曲を作るときからバズを狙っても、バズらない気がしていて。もちろんキャッチ—なところはあったほうがいいと思うけれど、あまり捉われすぎてもよくないので。<巡る巡る>というサビの日本語メロもキャッチ—だと思うんですけど、実はあとから付け足したんですよね。制作の最後の最後に、「しっかり歌えるパートがほしい」と思って。ずっと「歌がいちばん大事」って言ってますからね、僕らは。

——あくまでも音楽的な意図によるものなんですね。確かに、いかにもバスることを狙ったフレーズは聴いてる人たちにも見透かされそうですよね。

柳田:音楽以外の動画もそうだけど、「これは伸びるやろ」と思ってても伸びないですから(笑)。さっきも言いましたけど、何の気なしに撮った動画とか、あまり深く考えないでアップしたのもののほうが喜んでもらえる気がするので。考えてみると、「夜永唄」もそうなんですよ。作ったのはだいぶ前だし、「TikTokでバズらせよう」なんて、まったく考えてなかったから。作りたい曲を作って、それが広まってくれるのがいちばんいいし、神サイはそういうやり方を続けていきたいですね。

——5月14日からはワンマンツアー『Live Tour 2021「エーテルの正体」』がスタート。TikTokで神サイを知って、会場に足を運ぶ方も多そうですね。

柳田:そうなってくれると嬉しいんですけど、難しいところもあるだろうなと思っていて。ライブハウスで観て興味を持ってくれた人は、次のライブも来てくれると思うんです。でも、TikTokで知ってくれた人はライト層だと思うし、好きな曲があったとしても、ライブに行くのはかなりハードルが高いんじゃないかなと。ただ、もちろんライブに来てくれたら、いろんな世界を見せてやるぞ!って言う気概はありますけど、SNSやサブスクとかで音楽を聴いてくれてくれるだけでありがたいとは思います。特に「巡る巡る」は、新生活を迎えた人たちの日常をちょっとでも彩れたらいいなと思いながら作った曲ですから。

——まずはリスナーの日常に音楽を届けたい、と。

柳田:それがいまのミュージシャンの役割だと思うんですよね。まだライブは難しいところがあるし、仕事とか家族とか、いろいろな事情で会場に来られない方もたくさんいて。こちらから無理にライブに来てもらうことはお願いできないし、だったら、自分たちの音楽が生活の一部になってくれたらなと。そういう意味でもTikTokは、最高の出会いの場所だと思いますね。

■リリース情報
Digital Single「巡る巡る」
2021年4月13日(火) 配信リリース:https://kamisai.lnk.to/meguruPR

■ライブ情報
Live Tour 2021「エーテルの正体」
5月14日(金)【福岡】Zepp Fukuoka
5月21日(金)【愛知】Nagoya DIAMOND HALL
5月28日(金)【大阪】Namba Hatch
5月30日(日)【東京】Zepp Tokyo
6月6日(日)【宮城】Sendai PIT
チケット料金 3,500円(税込・ドリンク代別途)
チケット一般発売:4月24日(土)

■関連リンク
神はサイコロを振らない Official Website

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