新型コロナの影響で、オンライン学習とともに浮上する“デジタル格差”を埋める解決法

オンライン学習の“デジタル格差”を埋める解決法

 現在、新型コロナの影響でほとんどの教育機関の閉鎖を余儀なくされている欧米各国では、学習をオンラインに移行している。

 多くのコンテンツやサービスをオンラインで提供していた大学などの高等教育機関は、初等中等教育機関に比べスムーズに授業をオンラインへ移行することができたが、教室内での実践型授業に重きを置いている小学校の低学年のような教育現場は、オンラインへの移行に苦戦している。教室内での内容をオンラインへ移行する難しさだけではなく、家庭での学習環境の維持は、教師や家からリモート勤務している親たちにとっても予想以上に難しく、ストレスの多い業務となっている。

 このオンライン授業への移行プロセスの中、コンピューターやスマートフォンなどのデジタル機器とインターネットへのアクセスなど、デジタル環境の格差による教育格差の悪化が問題視されている。特にアメリカでは、新型コロナの影響により失業者数が2570万人に膨れ上がっている中、インターネットやパソコンなど、学習に必要な最低限の環境を整えることができない家庭が増えている。そんな中、アメリカの各地で公衆テレビ放送を利用した様々な学習コンテンツプログラムを提供するプロジェクトが広まっている。

テレビ普及率を利用して

 現在、アメリカの全土におけるテレビ普及率は96%と圧倒的に高い。しかし、同時にオンライン授業やZoomなどのWeb会議サービスに必要な高速インターネットサービスにアクセスできない家族が500万もある。州や地域によっては、1/3の家庭にインターネットがなくフードコートや図書館などの公共ホットスポットを利用し、宿題や課題をこなしている状況だ。そんな中、より普及しているテレビを使って学習番組を放映するというアイディアが、学校閉鎖に伴い発案された。大手放送局Foxは巨大なネットワークを駆使し、様々な州で同じような番組展開を行なっている。元ニュースキャスターのMelinda Spaulding Chevalierにより考案された学習教材のテレビ番組化はヒューストンのFoxに勤めるMelindaの元上司へと提案・引き渡され実現された。

 この後、シカゴやサンフランシスコなどのFoxも活動へ参加し、より広範囲の教育機関をカバーすることが可能となった。シカゴでは週末の放映で5万世帯の視聴者数を記録しておりその注目度がうかがえる。これらの放映はFoxにより無料で行われておりコマーシャルなどの広告も一切入らないようになっており、Let’s Learn NYC!はPBS stationの一部である教育チャンネルで放映されている学習コンテンツとして、全てニューヨーク市の教師たちが独自に家で作成したものを公開している。

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