ドコモの新料金プラン「ahamo」の“本当の狙い”は? ターゲットや発表タイミングから読み解く

ドコモの新料金プラン「ahamo」のライバルは楽天モバイルか

 携帯電話が普及して何年も経ち、今やマストアイテムのひとつとなった。しかし料金プランについて、頭を悩ませている人も多いだろう。

 そんな中、2020年12月3日、業界に激震が走った。最大手キャリアのドコモが新しい料金プラン「ahamo」を発表したことが理由だ。

 月20GBのデータ容量を持ちながらも、月額2,980円という破格の価格設定は、格MVNOのプランと見間違うほど。

 「安さ」というのは消費者にとってもっとも嬉しい魅力であり、万人に喜ばれる要素だ。では安さをウリにしているahamoは、万人におすすめできる料金プランなのだろうか。

 答えは、NOである。今回は万人におすすめしない理由と、ahamoが作成された背景を解説したい。

デメリットから見るahamoの狙い

 安さという観点のみで考えれば、間違いなく全員に恩恵があるだろう。しかしahamoにはいくつかのデメリットがあり、その影響は大きい。

 まずプラン変更も含めた全ての契約や問い合わせは、専用のWEBサイトかアプリからでしかできない。ドコモショップやインフォメーションセンターでは、一切の対応をしないという。この時点でユーザーはかなり絞られる。WEBやアプリが苦手な人は、契約することも難しいだろう。

 さらに一部の割引サービスと併用できない点も見逃せない。「ドコモ光セット割」や「みんなドコモ割」などが該当する。ahamoに変えることでケータイ料金は安くなっても、家計全体で見れば高くなることもあり得る。自身の状況を考えて、慎重に判断する必要があるだろう。

 これらを踏まえると、ahamoのターゲットが見えてくる。家族から独立し、WEBやアプリに抵抗の少ない若年層だ。ドコモの狙いは、他社のサブブランドと契約しているユーザーの取り込みと考えられる。

 ではドコモはなぜ、ahamoというMVNOに匹敵するプランを打ち出せたのだろうか。

安さのバックボーンは完全子会社化と人件費削減

 安いサービスを提供するには、当然ながら資金が必要となる。ahamoを開始するにあたって、必要な資金はどこから出てきたのだろうか。

 それはNTTによるドコモの完全子会社化が理由だろう。2020年12月25日にドコモは上場廃止すると発表しており、親会社となるNTTは増益する見込みだ。この増益分が、ahamoを支える資金となったのは間違いないだろう。

 さらに徹底した人件費の削減が、ahamoを継続させる力となっている。WEBやアプリのみで全て対応するため、ドコモショップやインフォメーションセンターにかかる費用はほぼない。始められる資金と継続できる力があるからこそ、月額2,980円という低価格を打ち出せたのだろう。

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