ドコモの新料金プラン「ahamo」の“本当の狙い”は? ターゲットや発表タイミングから読み解く
計算されたahamo発表のタイミング
ahamoは2020年12月に発表されたが、なぜこのタイミングなのか少し考えてみたい。
完全子会社となるタイミングであることは、間違いないだろう。それは資金面から見ても明白である。
また少々不謹慎であるかもしれないが、筆者はコロナ禍の影響もあると考える。2020年12月は、新型コロナウイルスの第3波が世間を騒がせている。2020年はコロナの影響でリモートワークが推奨されるなど、否が応でもWEBのリテラシーが高まった。
それまでは見向きもしないような世代も、WEBやアプリに関心を持つようになったのだ。ahamoのターゲットは若年層で間違いないだろうが、「若年層」の認識が少し広がったように思える。取り込めるターゲットが、わずかに増えたのではないだろうか。
さらに考えられるのは、楽天モバイルの存在だ。楽天モバイルは、2020年4月から自社回線のサービスを本格化した。それまで楽天モバイルはドコモ回線・au回線を使っていたので、ドコモユーザーをそのまま取り込んだことになる。
楽天モバイルには、プラン料金が1年無料になるサービスがある。2020年4月に楽天モバイルへ乗り換えたユーザーは、2021年4月に無料期間が終了する。対してahamoのサービス提供時期は、2021年3月だ。これをただの偶然と片付けるのは、少々乱暴過ぎると筆者は考えている。
ahamoはMVNOの脅威となるのか
MVNOは安さで事業を展開する企業だが、実はahamoとは競合しづらい。MVNOとahamoの決定的な違いは、データ容量にある。ahamoは月に20GBのデータ容量を持つが、MVNOの主力プランは3〜5GBほど。つまり月に20GBを使うようなヘビーユーザーは、MVNOを利用していないということだ。
そもそもMVNOはドコモの回線を使用している企業が多く、MVNOと競合することはドコモにとってうま味が少ない。では、ahamoは、何に対抗して打ち出されたプランなのだろうか。そう、楽天モバイルだ。
楽天モバイルが展開する「Rakuten UN-LIMIT Vプラン」は、ahamoと非常によく似ている。料金やデータ容量、海外での利用、5G展開など共通点が多い。通話品質などはドコモに一日の長があるため、ahamoは楽天モバイルにこそ脅威となるだろう。
しかしながらahamoには、いまだに決まっていないことが多い。楽天モバイルの動向も気になるところだが、何よりauとSoftBankがこのまま黙っているとは思えない。後発優位を利用した、新しいプランを必ず投入してくるだろう。ドコモが一石を投じた波紋がどのような波になるのか、2021年は業界にとって激動の年になるかもしれない。
■津田まさき
家電量販店勤務で家電製品・ガジェットが大好き。ジャンルに偏りがない雑多ライター。アニメやゲームが主食。Twitter