「VRインタラクティブストーリーアクション」を実現した『ALTDEUS: Beyond Chronos』クリエイター陣の創意工夫

『アルトデウス:BC』制作陣インタビュー

一人ひとりがブレーンとなり完成された逸品

ーー「マシンアクションパート」ではリズムゲームをしている感覚もありました。そこは狙っていたのでしょうか?

柏倉:マシンを使ったバトル体験をノリよく楽しんでもらいたいという思いはありました。マキアでバトルをする際、ノアというキャラクターが戦意高揚のために歌っている設定を活かしたかったのもあります。『アルトデウス: BC』のキーワードの一つである“歌”を、アクションパートでも大事にしたかった。ただ、最初はここまでリズムがよくはなかったです。

田村:最初は「マシンアクションパート」の尺が今の2倍くらいありました。仕様書に書かれたセリフと分岐をもとに演出を組んでみたのですが、いかんせんノリが悪い。インタラクションの仕組みもプレイヤーが何もしなければずっと待ち時間で、音楽がループしているような形。社内でもイマイチな評判でしたね。

そこで、柏倉監督とサウンドプロデューサーの郡(陽介)さんと話し合った結果、音楽に合わせてアクションパートをつくる方向にして。可能な限り音楽が途切れないようにしたいという要望を取り入れ、インタラクションも一定の時間が経過したら自動で進むような仕様にしました。

中地:一番盛り上がるシーンで曲の盛り上がりを持ってくるように、プレイヤーが操作するタイミングを計算して操作中の一番気持ちのいいタイミングで音楽が流れるように調整しました。

田村:つくって、VRで確認して、0.3秒音がズレているから調整して……みたいな感じで。また、今回から日本語と英語吹き替えのボイスがあるため、どちらの言語でもほぼ同じ体験ができるようにタイミングを調整しています。

 日本語と英語で言葉の尺が違うから調整は大変でしたが、音周りのスタッフが社内にいるので連携が取りやすかったのは助かりました。おかげで気持ちのいい音楽が流れる中で気持ちのいいゲーム体験ができるようになっています。

ーークリエイターの工夫とこだわりが詰まっていますね。

田村:仕様そのものを各自が提案できるスタイルなので、かなり自由にやらせていただきましたね。アニメーションの担当でありながら、中地さんのインタラクションに口を出すこともありました。

中地:田村さんはアニメーションのプロフェッショナルなので、UIはどういう動きが一番気持ちいいのかとか、とてもアドバイスをいただきましたね。最初から完成品をつくるというよりも、つくったものを監督やスタッフのみなさんに見てもらって、フィードバックを反映させてつくり上げていくので。連携しながら進めていました。

 がっつりとした仕様がないからこそ、各々細かい部分にこだわれたんだと思います。みんなつくり込むのが大好きなので(笑)。

柏倉:小さいチームなので、メンバーそれぞれにブレーンになってもらう方が効率がいいんですよね。「これが一番楽しい要素なんだ!」とアイデアを出してもらうと、自分の考えているアイデア以上のものが出てくるので、それを採用できたのはよかったと思います。

ーーいろんなこだわりが詰め込まれていると思いますが、『アルトデウス: BC』で特に楽しんでほしいポイントを教えてください。

田村:音楽がとにかく良いです。プレイヤーのみなさんに「いい音楽だ!」と思ってもらうためにアクションシーンを工夫しているので、ぜひ音楽を楽しんでほしいです。

また、アクションシーン以外のさまざまな場面で音楽が流れます。曲数がとても多いので、どの曲にも注目してください。

中地:気にならないくらい自然に溶け込むように、気持ちよく反応するようにインタラクションをつくっているから、気にしてもらわないのが一番なのですが……(笑)。バトルのインタラクションは過剰なくらい気持ちよさを追求しているので、そこは楽しんでもらえたらと思います。

ーー最後に、柏倉監督はいかがでしょうか?

柏倉:前作の『東京クロノス』でシナリオを担当していただいた小山恭平さんを含め、今回はカミツキレイニーさんや高島雄哉さんなど複数のシナリオライターさんにご協力いただいています。みなさんのつくり上げた物語が、とてもいいものになっています。ぜひ最後まで遊んでいただきたいですし、主人公のクロエになったつもりで楽しんでいただければと思います。

■作品情報
『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンド クロノス)』
ジャンル:VRインタラクティブストーリーアクション
対応プラットフォーム:Oculus Quest Oculus Rift and more
発売日:2020年12月4日
プレイ人数:1人
価格:未定

〈キャスト〉
クロエ:CV.鬼頭明里
コーコ:CV.奥野香耶
ノア:CV.花守ゆみり
アニマ:CV.石川由依
ヤマト:CV.小林裕介
アオバ:CV.荒牧慶彦
ジュリィ:CV.芹澤優
デイター:CV.速水奨

〈スタッフ〉
監督:柏倉晴樹
キャラクターデザイン:LAM
シナリオ:小山恭平 / カミツキレイニー / 高島雄哉
メカデザイン:I-IV
音楽:郡陽介 / 高橋邦幸(MONACA) / kz(livetune)

公式HP
公式ツイッター
公式YouTubeチャンネル

 

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