バイデン氏の米大統領戦勝利がテック業界にもたらす影響は? 各社の見解を比較
トランプ氏が集計のやり直しを求めるなど、混沌を極める米大統領選。各社報道ではバイデン氏の勝利が大きく伝えられている。同氏が正式に大統領就任となった場合、テック企業にどのような影響を与えるのだろうか。メディア各社の見解を見ていこう。
The New York Times
バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は、テクノロジー業界に寛容だった。しかしバイデン氏が大統領となった場合、業界ははるかに困難を強いられると『The New York Times』は記事内で語っている。
バイデン陣営に近しい人は、「バイデン氏が先月Googleに対して提起された独占禁止法訴訟を追及すると見られている」と述べた。また、トランプ政権が1年以上にわたって調査してきたFacebook、場合によってはAmazonとAppleに対する独占禁止法の訴訟も行われる可能性があるという。
バイデン氏は、テック企業の特定の事案や調査についてはコメントしていない。しかし、陣営の広報であるマット・ヒル氏は、バイデン氏は業界に攻撃的な姿勢を取ると見ている。同氏は「多くのテクノロジー企業とその幹部は、力を乱用しただけでなく、国民を惑わせ、民主主義を傷つけておきながら、あらゆる責任を回避してきた。バイデン氏はそれを終わらせる」と述べている。
参照:https://www.nytimes.com/2020/11/10/technology/biden-tech-antitrust-privacy.html
CNN
『CNN』もまた、バイデン氏勝利の場合もテック企業にとって厳しい状況は変わらないと見ている。
そして多くのワシントンの政策専門家も同じ見解だという。政策とそのスタイルの点でトランプ氏と大きな違いがあるにもかかわらず、我々の想像以上に2つの政権の間には継続性があるようだ。
「Cowen & Co」のアナリスト、ポール・ギャラント氏は、「バイデン政権の下では、GoogleやFacebookを含むハイテク企業は、訴訟と規制のリスクに直面し続けるだろう」と述べている。
テック企業への調査や独占禁止法の執行はホワイトハウスの影響を受けずに行われるため、バイデン氏が直接関与することはない。しかし、彼がFTC(連邦取引委員会)や、DOJ(米国合衆国司法省)などを率いる幹部を指名するため、機関のスタンスに重要な影響をもたらす可能性があるという。
またバイデン氏は、セクション230(※)によるテック企業の保護をやめるべきだと主張してきた。「プラットフォームは、虚偽の情報やコンテンツを広めることへの責任を負うべきだ」としている。
※セクション230:プラットフォームは発言の場を提供しているだけであり、投稿されるコンテンツには責任を負わないとする条項
それでも、ビッグテック企業の従業員の多くはバイデン氏を支持しているようだ。CNNの9月のレポートによると、Amazon、Google、Facebook、Appleの社員は、バイデン陣営にトランプ陣営の3倍多く寄付したという。法人税の引き上げや規制強化のリスクがあるものの、トランプ氏よりも行動が予測しやすいバイデン氏を支持する傾向にあるという。
またバイデン氏は、移民に対してよりオープンなスタンスを取ることを約束している。「D.A. Davidson」のアナリスト、トム・フォルテ氏は、「より移民に優しい政策は、エンジニアの人材確保という点でビッグテック企業にとって有益だ」と述べた。現に、Google、Microsoft、TeslaなどのCEOは移民だ。
参照:https://edition.cnn.com/2020/11/10/tech/biden-tech-policy/index.html
https://edition.cnn.com/2020/11/04/tech/big-tech-joe-biden/index.html