美麗ピクセルアートで悲劇を描く2Dアクション『INMOST』 古城をさまよい道を選びとれ

美麗ピクセルアートで悲劇を描く2Dアクション『INMOST』 古城をさまよい道を選びとれ

 『INMOST』はPC(Steam/GOG/Humble Store)/Nintendo Switch/Apple Arcade向けに配信されている2Dパズルアクションゲームだ。価格は1520円で、日本語字幕とインターフェースに対応している。

 プレイヤーは3人の主人公を交互に操作しながら物語を追いかけることになる。屋敷で暮らす好奇心旺盛な女の子、放浪を続ける平凡な男、そして己の欲求のまま剣を振るう騎士。体格が異なる彼らを導くには、それぞれの身体能力に合わせたアクションを使いこなす必要がある。小柄な女の子は物を積み重ねて高いところへ登ったり、重量級の騎士はフックショットを使って遠い足場に着地したりと、パズルの内容も変わってくるのだ。各キャラクターの特性を理解しながら、美しくも鬱蒼とした廃墟を進むことになる。

 本作でプレイヤーが何を「成し遂げる」かを語ることは難しい。古城の探索といえば聞こえはいいが、その実態は数あるアドベンチャーゲームから思い浮かべる快刀乱麻とは程遠い。まずプレイアブルキャラクターは騎士を除き、身を守る手段をもたない。崩れた城にはしばしば黒い粘液状の敵が出現しプレイヤーを脅かす。探索パートの大部分においてはそうした外敵を退けることはできず、最低限のアクションとステージのギミックを利用してなんとか危険を逃れるしかないのだ。

 さらに『INMOST』では独特の「質量感」が鬱屈とした雰囲気に拍車をかけている。古き良きピクセルアートで描かれる本作だが、キャラクターはいずれもドット絵の可愛らしさがもたらす軽やかな印象とはかけ離れた鈍重さでしか動けないのだ。非力な女の子はもちろん、放浪者の男もスピーディな動きとは言いがたい。もっとも冒険者らしい風態の騎士ですら、鎧のために機動力を発揮することが困難なのだ。プレイ中は全編を通じて、重い身体を引きずりながらもがくような息苦しさが通底している。本作は古典的なゲームのように道を切り拓く爽快感よりも、手探りで道を探りなんとか通れるところを通っているような感覚が強いといえるだろう。城を攻略しているというよりも、城に道をたどらされているといった方がいい。

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