TikTokで薬物過剰摂取の15歳少女が死亡 インターネット社会の若者保護は急務

TikTokで15歳少女が死亡

 薬物を過剰摂取して幻覚をおこしたを自分の姿をTikTokに投稿しようとして、アメリカの未成年の少女が、命を落とすという痛ましい事故が起こった。

アレルギー用の抗ヒスタミン薬でベナドリル・チャレンジ

 オクラホマ州のブランチャード・ハイスクールに通うクロエ・フィリップスさん(15歳)は、花粉症などのアレルギー症状を緩和する抗ヒスタミン薬であるベナドリルを大量に飲んで自撮りするベナドリル・チャレンジ(Benadryl Challenge)を行い、帰らぬ人となった。

亡くなったクロエ・フィリップスさん(New York Postより)

 ベナドリル・チャレンジは、若者に人気の動画共有ソーシャルメディアTikTokで流行っていると『New York Post』は指摘する(参考:https://nypost.com/2020/09/03/family-warns-of-tiktok-benadryl-challenge-after-daughter-dies/)。

 遺族のジャネット・シシー・リージャーさんは、クロエさんについて「将来の夢を持つ幸せな女の子でした。このようなことで、若者たちが病院に担ぎ込まれるような事態を無くさなければなりません」と述べる。

 一見して真面目そうな子でも、家族の目の届かないところにおいて、若気の至りで火遊びをしてしまうというのは、どんな家庭にも起こりうることだ。

 ジャネットさんは「私たちに今、起こっていることを他の家族が経験するのを見たくは、ありません。これがあなたに起こらないとは、決して言いきれません」と続ける。

心停止の危険を招く

 オクラホマ毒・薬物情報センターのディレクターであるスコット・シェファー氏は、この行為が、生命にかかわる状態を招く危険があり、「大量のベナドリルは発作を引き起こし、特に心臓の問題を引き起こす可能性があります。心臓はリズムを失い、血液を効果的に送り出せなくなる傾向があります」と警鐘を鳴らす。

 また、トロント大学の臨床薬理学・毒物学部門の責任者であるデヴィッド・ジュールリンク医師によると、この薬物を過剰摂取すると、眠気、昏睡、錯乱、興奮、かすみ目、目や口の乾燥、便秘、無汗、排尿障害といった、さまざまな症状が出る可能性があるという。

 ジュールリンク医師は「大量のベナドリルは発作や心停止を引き起こす可能性があります。若者がTikTokで大量に飲むようにけしかけられています。これは非常に危険です。 この薬は人が試しで遊びに使っていいようなものではありません」と語る。

 5月には、テキサス州の未成年3人がベナドリルを大量摂取し、クックズ・チルドレン病院に搬送され、幸いにも一命をとりとめた。そのうちの一人は、14歳で一度に14錠を飲んだと『Forbes』は伝えている(参考:https://www.forbes.com/sites/victoriaforster/2020/09/02/teen-dies-after-doing--tiktok-benadryl-challengeas-doctors-warn-of-dangers/#76842001f0db)。

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