InstagramとTikTokにダンス動画投稿しただけで、女子大生に禁錮2年・罰金200万円の判決下る
エジプトの女子大生マワダ・アルアダムさん(22歳)は、ファッショナブルな装いの動画をInstagramとTikTokに投稿したために逮捕され、禁錮2年・罰金およそ200万円の有罪判決を言い渡された。
ファッションモデル業は「みだらで家族の価値観を乱す」?
マワダ・アルアダムさんは5月、流行の服を身にまとい、有名な歌をリップシンクしながら、ダンスした動画を投稿したことが、みだらな行為で家族の価値観を損なうものとして逮捕された。
マワダ・アルアダムさんは、Instagramのフォロワー160万人、TikTokのフォロワー300万人を誇る、人気のインフルエンサーで、有名ファッションブランドのモデルとしても、ソーシャルメディアで活動していた(参考:https://www.instagram.com/mawada_eladhm/、https://www.tiktok.com/@mawadaeladhm)。
憤慨する家族
マワダ・アルアダムさんの姉ラーマさんは『BBC』のインタビューで、家族が置かれている窮状を訴えている(参考:https://www.bbc.com/news/world-middle-east-53733841)。
「完全にショックを受けています。妹は、何も悪いことをしていませんし、犯罪者ではありません。女優になることを夢見ていました。だた野心的すぎたのです。非常に派手な服を着た女優がいるのに、なぜ妹が狙われたのか」と憤りを隠せない。
検察は、彼女に対するマワダさんの17枚の写真を「堕落」の証拠として使用したという。マワダさんは、これらの画像が昨年、携帯電話が盗まれた後、漏洩したと述べている。マワダさんは、最初の評決を聞いた際に目まいを起こした。また母親は泣き崩れ、床に伏してしまったという。
「TikTokガールズ」と呼ばれるマワダ・アルアダムさん、ハニーン・ホッサムさん(参考:https://www.instagram.com/hanenhosaamofficiall/)を含む5人の女性が今回、逮捕されたという。その5人の女性は上訴しており、次の審問は9月14日に予定されている。
今回の逮捕について、弁護士のアフメド・バーキリー氏は「告発は、非常に漠然とした表現になっている。彼女の動画が社会的規範と伝統に反する場合でも、刑務所に入れることは解決策にはならない」と述べる。
表現の自由を抑圧する新しい戦術、戦々恐々の若者
人権活動家は、「エジプトではこの事件に対して感情は複雑で、若者たちは特定のオンライン活動に恐怖心を抱いている」と指摘する。保守的なイスラム教徒は、マワダさんの動画をみだらだと見なしているという。
人権団体アムネスティ・インターナショナルは、今回の逮捕が、表現の自由を制限しようとする当局の試みで「サイバースペースを統制するための新しい抑圧的な戦術」と見なしている。
アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領は、エジプトに良心の囚人はいないと主張し、人権侵害の報告の信憑性に疑問を呈しているという。
カイロにある人権団体「Egyptian Commission for Rights and Freedoms」のハメド・ロッフィ氏は「エジプトの家族の価値観に違反したとして非難されているが、誰もこれらの価値観を定義したことはない。当局は政治のを話をしていなくても、自由な言動をすることは出来ず、越えてはならない一線があることを明確にした」と述べる。
検察庁は「デジタルプラットフォームを介して若者を脅かす危険性があり、価値のない名声と成功を求めて、無謀でみだらなライフスタイルに惑わされるのを止めるように」と強調する声明を発表した。