ゲームエンジン「Unreal Engine」で2Dアニメ制作? プレビュー中にも描ける「Odyssey(仮称)」開発中

ゲームエンジンでアニメ制作の裏側

 2Dソフトだけでなく、3DCGソフトを使ったアニメーション制作が広く知られるようになった一方で、2010年代からはゲームエンジンを使ったアニメーション制作も注目を集めてきた。3DCGソフトでの制作はともかく、まだまだゲームエンジンでの制作については意外に思う人も多いに違いない。

 去る2月9日に石神井公園区民交流センターで開催された『アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム(ACTF)2020』は、2015年からの開始で今回が6回目。アニメ業界向けにセッションやセミナーを通じて、作画のデジタル化に伴うソフトや機材の導入に関する知見の共有が行われている。

 この『ACTF』では、先日のレポート「話題の『名探偵コナン』オープニングはどのように作られた? トムスが取り組む3DCGとToon Boom Harmonyの事例」のように、2Dや3DCGを問わず知見が共有されてきた。ここではEpic Games JapanとPraxinos(プラクシノス)が実施のセミナー「Unreal Engine がアニメ制作で使える!? 次世代描画ツールのご紹介」の模様を記す。

 

Epic Games JapanとPraxinosによるセミナーの様子(ACTF2020提供)。

 今回の『ACTF』では、初めてゲームエンジンを手がける会社が参加した。展示コーナーでも、セミナーを実施したEpic Games JapanのほかにUnity Technology Japanなど、ゲーム開発に関心があれば耳にしたことのある会社のブースが見られた。

 Epic Gamesが開発するUnreal Engineは、自社開発のゲーム『フォートナイト』などのほか、ゲーム『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』の開発などに使用されてきた。直近では4月10日に発売されたゲーム『FINAL FANTASY VII REMAKE』でも使用されている。

TVアニメ『ノー・ガンズ・ライフ』PV第3弾。本作は、カラスマタスクの原作マンガをテレビシリーズ化。昨年の10月から12月までのクールで第1期を放送、今年の4月から6月までのクールで第2期を予定していた。

 セミナーの冒頭では、昨年10月から12月までのクールで第1期が放送されたアニメ『ノー・ガンズ・ライフ』での利用例が示された。本作の主要キャラクターはアニメ制作スタジオのマッドハウスが2Dで手描き、背景のモブキャラクターは3DCGでアニメ制作スタジオのサイクロングラフィックスが担当した。Unreal Engineはイメージボードや2Dレイアウトの段階から使用し、3DCGの背景も全てUnreal Engineでレンダリングを行ったそうだ。

Praxinosのソフト開発メンバー(Praxinos提供)。

 当セミナーは、Praxinosが開発するソフトが本題であった。講演したPraxinosは、フランス北東に位置するメッス市に本拠地を置くスタートアップ企業だ。プロジェクトマネージャーのファブリス・ドゥバルジュを筆頭に、起業家精神に溢れた8人のアニメーション映画産業のプロが、Unreal Engineをベースにした2Dと3DCGアニメーションを制作できるソフトの開発に携わっている。

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