嘘つきオオカミちゃんの正体と衝撃的な“真実” 美しくも哀しすぎる『月とオオカミちゃんには騙されない』最終話

『月とオオカミちゃん』最終話レビュー

 続く2人目のメンバーはヒナ(Hina)。これにはスタジオからも驚きの声が上がる。というのも、初回からヒナは“オオカミちゃん疑惑”が常に消えない人物だったからだ。彼女に告白するのは、一途に想いを伝え続けてきたコア(Novel Core)。真正面から愛情を届け、時に隣で支え、後ろから見守るなどヒナを一番に考え続けてきたコアの恋心は報われるのだろうか? 「最初に振り返ったときに直感があった。これからももっと知りたいし、出来たら隣にいたい。『オオカミちゃんじゃないって信じてる』とかじゃなくて、俺は(オオカミちゃんじゃないと)知ってるから」と力強く語りかけるコア。長い長い沈黙の後、ヒナから風船が渡される!

 これまでに見せたことのないような笑顔で「コアは疑うとか疑わないとかじゃなくて、いつも助けてくれたし、いっぱい頑張ってくれてありがとうございます」と語るヒナを、コアは熱くハグ。そして2人は「大好き」と言い合い(!)、ラブラブの様子を見せる(コアに抱きしめられたまま、彼を見上げるヒナの甘々な姿は必見だ)。「デートしようぜ」「いいよ」「どこ行く?」「江ノ島!」と月LINEデートの場所を即答するヒナもかわいらしい。ヒナがオオカミちゃんだと予想していた視聴者も多かっただけに、このとてつもなく幸せな真相は驚きだったことだろう。だがこのあと、もっと凄まじい衝撃が待ち受けている――!

 3人目のメンバーはあずさ。彼女に会いに来たのは、しょうたろうだった。懸命にアピールしたななかの頑張りは、届かなかった……。そしてナナ(加藤ナナ)が脱落してしまったことで、気持ちに揺らぎを見せていたとおるも姿を見せず。そして、ここで事件が起こる――。しょうたろうを待っていたのは、あずさではなく彼女が宛てた手紙。「しょうたろうへ。初めて会った日、2人でイルミネーションを見たこと覚えてますか? 思えば私はその時から、ずっとしょうたろうに支えられていた気がします。ただ私には、今日この場所に立つ前にどうしてもやらなければいけないと決めていたことがありました」という意味深な文から始まるその手紙には、彼女が月LINEを送った相手が記されていた。

 その相手はとおるではなく、なんとナナ! アトリエにやってきたナナに、あずさは「ごめんね」と涙をこらえながら謝り、「私はオオカミです。本当にごめん」と真実を伝えて泣き崩れる。チームのリーダーでもあった彼女は、ナナが脱落してしまったことに対する責任をずっと感じていたのだ。オオカミちゃんの役割と、リーダーとしての感情の狭間で苦しみ続けたあずさが最後に選んだ、本当に想いを伝えたかった相手。『TGC』(『第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER』)に一緒に参加できなかったナナのため、あずさが独りでナナのぶんのドレスを作っていたことも明かされ、あずさは規定違反のため失格となる――。こんなにも切ない結末を、いったい誰が予想できただろう。

 残酷な『オオカミちゃん』の設定に翻ろうされ続け、とおるが選んだのは、ナナの手紙。「一緒に最後を迎えられなくて残念です。でもこの冬は楽しいことばっかりでした。私は少しの後悔もありません。ありがとう。(中略)こんな心境でいられるのはとおるくんが最後まで信じてくれたからです」と書かれた手紙と赤い風船を握りしめ、とおるは独りで去っていく。誰も悪くないだけに、切なさもひとしおだ。

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