東海オンエア・虫眼鏡に聞く“グループの変化”「みんなが自信を持ち始めている」

東海オンエア・虫眼鏡に聞くグループの変化

 チャンネル登録者数450万人を超える、6人組の人気YouTuberグループ「東海オンエア」。そのブレーン的存在であり、元小学校教員という異色のキャリアを持つ虫眼鏡は昨年、動画の説明文を掲載する「概要欄」を『東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本 虫眼鏡の概要欄』(講談社)として一冊の本にまとめ、6万部のベストセラーとなった。

 そして現在、好評を受けた続編『続・東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本 虫眼鏡の概要欄 平成ノスタルジー編』(同)が好評発売中だ。前作の反響から「本」というメディアに対する思い、個人の活躍も目立ってきた東海オンエアというグループの変化まで、じっくり話を聞いた。

前回のインタビュー:東海オンエア・虫眼鏡 出版記念インタビュー「学校でも周りを騙せる“ちゃんとした本”になりました」

【インタビューの最後に、虫眼鏡氏のサイン入りチェキプレゼント企画あり】

「本は安心して攻められる、懐の深いメディア」

ーー前作『東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本 虫眼鏡の概要欄』は、6万部というベストセラーになりました。まずは率直なご感想を聞かせてください。

虫眼鏡:前作は思いつきから話がどんどん進んで、「え!? 講談社さんの手をわずらわせるほどのものじゃないって~!」というところから始まったので、6万部も売れたということが信じられていないんですよね。「本を出しました」というより「グッズ」という感覚で、ひとつのグッズが6万個も売れたと考えるとめちゃくちゃスゴいんですけど、本という歴史ある媒体はやっぱり強いんだなって思います。講談社さんの力をまざまざと見せつけられました(笑)。

ーーファンからの要望を受けた経緯もあり、よろこびの声は多く届いたと思うのですが、想定外の反響はありましたか? 

虫眼鏡:講談社の担当さんがツイッターでまとめてくれるんですけど、(東海オンエアが拠点としている)岡崎市だけでなく、僕と縁もゆかりもない地域のたくさんの本屋さんが、わざわざ特別コーナーを作ってくれて。すごくびっくりしましたし、シンプルに嬉しかったですね。

 
ーーもともと本がお好きですし、書店に行って自分の本が平積みになっているのを見ると、感慨深かったのではないでしょうか。

虫眼鏡:そうなんですよ。僕、大きい書店に行ったら2時間とか3時間出てこないくらいなんですけど、そこに自分の本が並んでいるなんて。見かけるたびに「あるやん!!」って思いました(笑)。これって「本を出した人あるある」かもしれないですね。

ーーメンバー含め、周りのクリエイターの反応はどうでしたか?

虫眼鏡:それが「こんなに売れてすげーな!」とはならないんですよ。というのも、今回の本はもちろん東海オンエアありきではあるものの、僕が個人的に進めたもので、「みんなで宣伝していこうぜ!」というプロジェクトでもなかったから、周りのリアクションも「虫さん本出したんだ、すごいね」くらいで。それが嫌ということでは全然なくて、メンバーが、あくまで個人プレーで「これはワシの仕事や!」と思える環境にしてくれたのはうれしかったですね。

ーー“個人プレー”といえば、虫眼鏡さんは『東海オンエアラジオ』(東海ラジオ)、また個人チャンネル「虫眼鏡の放送部」と、トークを主軸にした活動が増えています。概要欄用のネタと、トーク用のネタは分けていたりしますか?

虫眼鏡:概要欄に使おうと思うネタはメモして集めていて、動画に合わせて使えそうなものを使ったり、何もなければ動画とにらめっこしたりして書いたりしているんですけど、トークに関しては、実はそういう努力はしたことがないんですよね。自分から「これについてしゃべる」というより、東海オンエアの動画だったらメンバーとの掛け合いから始まるし、『東海オンエアラジオ』だったら隣にゆめまるがいて、皆さんのお便りもあるし、個人チャンネルでもメールをもらえるしーーという感じで、一度ボールを受けてから投げ返すような立場だというか。

ーーなるほど。そういう意味でも、東海オンエア恒例の「語尾変更ジャンケン」で負けて、5月いっぱいまで「◯◯だってばよ」で通さなければいけなかったのは、キャッチボールがしづらそうで大変でしたね。

虫眼鏡:あれは本当によくない風習なので、やめさせたいと思います(笑)。

ーーさて、今作には書き下ろしで、ここでしか読めないエッセイも収録されています。動画、ラジオにイベント、そして書籍と、表現する場所が広がっていくなかで、虫眼鏡さんは「本」というメディアをどう捉えていますか?

虫眼鏡:例えば動画と本を比べたときに、動画はこっちが表現したものが80~90%くらい、ストレートに伝わると思うんです。一方で、本の場合は半分以上、読者に委ねられるというか、読者がどう受け取るかによって完成するメディアだと思っていて。言い換えると、動画だったら、僕らが提示したものが伝わるか/伝わらないか、面白いか/面白くないかという話になりがちだけれど、本は読んでくれる人の考えがあって初めて成り立つものだと思うので、その分、誤解を恐れず書きたいことを書いて、のびのびやれるというか。僕がヘンテコなことを書いたとして、読んでくれた方が必ずしも共感せずに、「いや、そんなことはない」と考えてくれればそれはそれでアリ。安心して攻められる、懐の深いメディアだなって。


ーー4編のエッセイはそれぞれにボリュームもあり、概要欄とはまた違う読み応えがありました。時間や環境が許せば、動画とは離れた文筆活動もしたい、という気持ちはありますか?

虫眼鏡:そうですね。僕もこのエッセイを書いていて、めちゃくちゃ楽しかったんですよ。だからどんどん書いてみたいーーとは思うんですが、僕はプロじゃないので、長く書いていくと「ヘタクソだ~!」ってなるんですよね。もっと勉強して、長い文章も書ける力がついたら、今後、もっとおもしろことができるかもなと。そういう意味で、伸びしろを見つけた感じはありますね。今回でいうと、「書くことがない」という悩み方はしていなくて、むしろワーッと書いてから、あっちこっち散らばってしまったところを繋げたり、いらないところをビリッとちぎって捨てたり、という感じでした。

ーー「平成のお話」は、新元号を予想するというタイムリーな部分がありましたが、ほかは必ずしも時事によらず、「どこかで言っておきたかった」というタイプの話ですね。睡眠する時間も働く時間も、もっと多様でいいじゃないか、という「睡眠の話」とか。

虫眼鏡:ネタ選びとしては、「言いたいことがたくさんあって、長さ的にも内容的にも概要欄にはなかなか書けない話」を優先しました。「睡眠」でいうと、本当に岡崎市はご飯屋さんがすぐに閉まりやがるんですよ(笑)。みんなが一緒の時間帯で動くんじゃなくて、「日中寝て、深夜に動く」お店があったらむしろ儲かりそうなのに、って。

ーー東海オンエアファンの聖地になっているラーメン店『まんぷく家』も、深夜に大行列を作っていますね(笑)。

虫眼鏡:そうなんですよ。『まんぷく家』があれだけ流行っているもの、深夜にやっているからだぞ!と言いたいです。

ーー動画ではあまり言えないような尖ったことについても、虫眼鏡さんならではの理屈がうまく整理されていて楽しく読めました。

虫眼鏡:日本語はとても便利なもので、書き方によってまるで自分の意見に説得力があるように見せかけることができるんですよね。僕が思っていることをいったんそのまま文章にしてみると、すごい性格の悪いヤツが書いたものができる(笑)。それをうまく整えていくのが面白いし、無茶な理由づけをしているところなんかも、逆に楽しんでもらえたらいいなって。「みんなに認めてもらわなきゃ」ではなく、「あくまで自分の考え方だから、違うと思ってくれていいよ~」という感じで自由に書けるので、楽しいですね。

ーー概要欄の加筆も含め、ファンにとっては前作にも増してお得感のある一冊だと思います。

虫眼鏡:動画の概要欄って、本当はお金を払わなくても読めるものなので、買ってもらえるだけの価値をもっとつけたい、と思っていて。確かに、概要欄を書き直した部分にエッセイも含めて、ファンの方でも初めて読むものが多いんじゃないかと。あとは、普段は本をまったく読まない、という人に手にとってもらえたらうれしいですね。文章を読む楽しさ、日本語の面白さに少しでも触れてもらって、僕の本を踏み台にして、違う本も読んでいただけたらいいなと思っています。

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