東海オンエア・虫眼鏡 出版記念インタビュー「学校でも周りを騙せる“ちゃんとした本”になりました」
チャンネル登録者数330万人を超える、人気YouTuberグループ「東海オンエア」。6人のメンバーからなり、ときに目を覆いたくなるような「過激」な内容も含め、その動画にハマるファンが後を絶たない。そして、動画の魅力をさらに引き立てているのが、通常は動画の説明文を掲載する「概要欄」だ。なかでも評判なのが、時に知的なアクセントを加えながら、単体でも面白いエピソードになっている「虫眼鏡」の文章で、ファンの根強い要望に応えるかたちで今回、『東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本 虫眼鏡の概要欄』として書籍化されることになった。
元小学校教員という異質のキャリアを持ち、一見して優等生的なイメージもある彼はなぜ、東海オンエアというグループで、YouTuberとして活動することを決めたのか。評判の「概要欄」はどのように出来上がっているのか。グループの魅力から出版の経緯、今後の活動まで、じっくりと語ってもらった。
【インタビューの最後に、虫眼鏡氏のサイン入りチェキプレゼント企画あり】
小学校の先生が、なぜYouTuberに?
ーーYouTubeに詳しくない読者の方もいると思いますので、まずこれまでの経緯について聞かせてください。虫眼鏡さんは小学校の先生から専業YouTuberに転身したという、珍しいキャリアの持ち主ですが、二足のわらじで活動していたなかで、明確に「YouTuberになろう」と決めた瞬間はあったのでしょうか?
虫眼鏡:普通に国語の授業をしていたら、校長に放送で呼び出されて「どっちにするんだ」と詰められたわけです。で、「一旦持ち帰らせていただきます」ということで時間をもらったんですけど、教員でメシを食っている人と、YouTuberでメシを食っている人を比べたら、断然、YouTuberの方がレアじゃないですか。「僕も男の子だったんだな」と思いましたが、こっちで一花咲かせる人生の方が面白いでしょ、と。いつか辞めるだろうと思っていたのが、意外に早かったなという感じで。何も授業中に呼び出さなくても、とは思いましたけど(笑)。
ーーまだ今ほどは、YouTuberとしての活動の先に何があるか、ということがクリアに見通せなかった時期だと思います。不安はありませんでしたか?
虫眼鏡:僕は「人間って住むところと食べるものがあれば死なないな」と思っていたし、結果としてうまくいかずにのたれ死んでも、「やめとけばよかった」とは思わないと考えてましたね。もともと、教員になったきっかけも、高校のとき付き合っていた彼女が「推薦で教育系の大学に行く」と言っていて、ついていったからですし。
ーー「東海オンエア」のメンバーは基本的に高校の同級生で構成されていますが、虫眼鏡さんだけ一歳年長で、リーダー・てつやさんのバイト先の先輩という少し距離のある関係性でした。それがYouTuberとして、いわば人生を共にしていく決断をしたのは、リーダーに心を動かされた部分もあったのでしょうか。
虫眼鏡:いえ、活動を始めるときはそんなに意気込んでいたわけでもなく、「こいつらふざけてるな」と思っていたところに「一緒に遊ぼうよ」と言われたから、「いいよ」みたいな感じで、ズルズル来ている感じです。今でもいい意味で遊び感覚が抜けていなくて。
ーー客観的に見て、東海オンエアはどんなグループだと思いますか?
虫眼鏡:男が6人でシンプルにバカなことをやっていて、ただ遊んでいる姿を見てもらえるようにしているだけ、という感じですけど、本当にバラバラな人間が集まっているので、それが珍しくて面白いと、僕は思ってます。てつやはメンバーをどうやって選んだんだろう、と本気で不思議に思うくらい。
ーーそのなかでも虫眼鏡さんの存在は異質というか、「知的で見た目も優等生風なのに、やっぱりぶっ飛んでいる」というのが、東海オンエアのイメージを決定づけている気がします。
虫眼鏡:僕は自分が面白いやつだとはあんまり思っていなくて、周りにヤバいやつらがいるおかげで引き立たせてもらえていると思っていて。なので、あえて自分を変えることなく、これまで通り「バカだなあ、こいつら」というふうに接していくのちょうどいいのかな、と考えています。
ーー一時には、メンバーをいさめることもありますね。
虫眼鏡:あくまで「遊び」なので、決まりごとをいっぱい作ることはしたくないんですけど、規模も大きくなって、関わっている人や責任も増えてきた状態で、「普通に人として面白くない」「ここはちゃんとしなきゃ」というところだけは、メンバーが気づかなかったら教えてあげなきゃな、というのはありますね。社会に出ていない子もいるので。
ーー逆にそのラインさえ守れていれば、あとはやりたいようにやればいいと。2017年にUUUMに加入したのも大きかったですか?
虫眼鏡:そうですね。YouTubeでの活動が軌道に乗ってきて、これをちゃんとビジネスとしてやっていくためには、UUUMさんの力を借りるのが後々いいだろう、というのが判断の決め手で。前の事務所の方とも仲良くしていて、嫌だからやめるということでは全然なかったんですけど、それこそ、「ここはちゃんとしなきゃいけないところだな」と。大変だけど、自分たちをステップアップさせてくれるところに行こうと考えたんです。動画自体はあんまり変わっていないと思うんですけど、UUUMという会社自体が注目を集める存在ですし、その力を借りて大きな舞台に立たせていただいたり、露出が増えているのはありがたいですね。