世界でInstagramフェイスフィルターに起こっている、「トレンド」と「美学」の変化

 The Vergeによると、Instagramフェイスフィルターのこれからのトレンドは「グロッシー」「メタリック」、そして「シュール」だ。

 モデルのテディ・クイリバン、ミュージシャンのアイラヴマコーネンやロザリアなど、多くのインフルエンサーが自身のInstagramストーリーで”Beauty3000”フィルターを使用した写真や動画をアップロードしている。

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 このフィルターは、ベルリンを拠点に活躍するモーションデザイナーのJohanna Jaskowskaによるものだ。彼女のポートフォリオサイトを見ると、青い水面のような空間が広がり、奥に向かって作品がまるで水中から浮かんでいるように表示される。作品を行き来するには、スクロールまたは矢印キーでサイト内を操作する。彼女の作品は、ユーザーのインタラクションで動きや空間を演出する、実験的なアプローチであることがわかる。

 Jaskowskaはi-Dのインタビューで、「フィルターの人気はナルシシズムにある」と答えた。「そのナルシシズムは必ずしも悪いことではないが、時にはあまり自然じゃない」と彼女は考える。「本物」の自分とネット上の自分が分裂しているとよく言われるが、「一方でバーチャルな世界で自分の人格を一から作り出すこともできるのも素敵なことだ」と。「フィルターは仮面のようにある種の“無名性”を与えてくれるが、それはコミュニケーション手法の一つであり、インターネットの登場で新しい仮面の用法ができた」のだという。

 また、イタリア版Vogueでは、「フェイスフィルターはファッションアクセサリーとしても考えられる」と答えている。「犬のフィルターを使っている時と、顔がきらめくようなフィルターを使っている時とでは、ユーザーの態度が変わってくる」そうだ。

 影響を受けた作品について聞かれた際、彼女はHenri-Georges Clouzotの”L’Enfer”(1964)の光の捉え方に影響を受けて”Blast”フィルターを作成したと語っている。ブレードランナーや攻殻機動隊などのサイバーパンク作品にもインスパイアされているらしい。

Henri-Georges Clouzotの”L’Enfer”(1964)
Blade Runner(1982)

 フェイスフィルターのトレンドはSnapchatの「犬」フィルターにより引き起こされ、「犬」フィルターはもはやミーム化した今、最新の流行は可愛さを抑えめに、近未来的でグロッシーなルックスに移行しつつある。

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