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アニメ『BanG Dream! 2nd Season』、なぜフル3DCGに? サンジゲン松浦氏に聞く“アニメ表現の多様性”

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 2015年にスタートしたメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!(以下:バンドリ!)』のアニメ、『BanG Dream! 2nd Season(以下、第二期)』が好評放送中だ。

 アニメーション制作を手がけたのは、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』や『ID-0』などの作品で知られるサンジゲン。『バンドリ!』第二期は、いち早くフル3DCGによるセルルックのアニメに取り組んできた同社が、初めて手がける「非SF」作品となる。

 ゲーム内のミュージックビデオ(MV)などで見せた高い完成度が、『バンドリ!』ファンにも大きく支持されているが、これまでとは異なるジャンルの作品に挑戦したのはなぜか。同社の代表取締役の松浦裕暁氏に、本作に挑戦した理由、こだわり、そしてCGアニメの可能性など、多岐にわたる話を聞いた。(杉本穂高)

元バンドマンのこだわりで自らモデリング

サンジゲン代表取締役・松浦裕暁氏。

――松浦さんは、『バンドリ!』のTVアニメ第一期ではCGコーディネーターというクレジットでしたが、本企画についてどんな関わり方だったのですか。

松浦裕暁(以下、松浦):最初のPVを作る時に、サンジゲンでCGをやってくれないかという話があったんですが、スケジュールが詰まっていて難しかったんです。でも何かの形で関わりたいという話をしていて、第一期アニメ制作時にCGのアドバイザーのような立ち位置になりました。

――その関わりがあったので、ゲーム内のMVと第二期のアニメの制作をサンジゲンさんが担うことになったのですね。

そうですね。僕は学生時代、元々バンドをやっていたので、第一期の時も「実際のバンドではこうだよね」というリアルな部分を盛り込むために、バンド経験者視点でのアドバイスをしていました。また、『バンドリ!』は演奏シーンはもちろん、日常シーンでも楽器がたくさん出てきます。それらを精密に描き切ることはCGにメリットがあります。サンジゲンはCGで日本のアニメを作ることを得意にしているので挑戦したいと思いました。

――松浦さんはバンド経験者なのですね。演奏シーンを描く際にも、経験者だからこそできた工夫もあったんでしょうか。

松浦:そうですね。MVの時は楽器からアンプに何も繋がってなくても、これはMVだからと言えたんですけど、本編では実際にライブをやっています。それでジャックに何も刺さってないのは変だなと思い、ギターやベースにワイヤレスの端末をつけました。あとドラムも生音じゃなく、マイクで拾ってないとリアルじゃないだろうということで、ドラムにマイクもつけました。でも、誰もスケジュールが空いてなくて、その2つは僕が自分で作ったんです。自分でモデリングしたのは10数年ぶりでした(笑)。

手描きと比較されることにプレッシャーは感じなくなった

湊友希那のモデルにリギング(アニメーションをつけるための設定)を施している場面。 髪の毛の束をいくつにもわけ、細かい動きが出るよう工夫している。

――『BanG Dream! 2nd Season』は#1から演奏シーンが多くて驚きました。アニメーションのカロリーが相当高そうです。

松浦:とんでもない目に遭いました(笑)。第一期は物語をしっかりやろうというコンセプトでした。物語の中で必要な演奏シーンはもちろん描くわけですけど、演奏シーンがありすぎても話が消化しきれないし、どこまで必要かという議論があったんです。当時はゲームリリース前でしたから、そこに対してネガティブな反応はなかったですけど、今はもう状況が全く違いますからね。ゲームがこれだけ大ヒットして、アニメで演奏をやらなかったら寂しいでしょうし、これは音楽ものである、ガールズバンドものである、というのは観てくれる人がほぼ全員承知している状態ですから、演奏シーンは期待されていると信じていました。

――サンジゲンさんはフル3DCGでアニメを作っているわけですが、第一期は他社の手描き作画主体の作品でした。比較されるのは覚悟の上だと思うのですが、プレッシャーは感じましたか。

松浦: 5年前に初めてフル3DCGでTVアニメ作品を作った時は、気になってしょうがなくてプレッシャーもありましたけど、今はもうあまり感じません。

――5年前と比較すると、アニメファンの反応もかなり変わってきたのではないかと思うのですが、どう感じていらっしゃいますか。

松浦:僕が言うのもなんですが、CGか作画か、というだけでアニメの面白さが決まるわけじゃないと思います。僕らの表現手法がたまたまCGなだけで、作画に勝ちたいという気持ちでやっているわけでもないですし。もちろんより良いものを作りたいという気持ちに変わりはありません。

――セルルックのCG表現が目指すものというのは、作画を完璧に再現することなのか、それとも独自の表現を追求することなのでしょうか。

松浦:ニュアンスの話になりますけど、特に作画を意識してるわけじゃないです。意識しているのは市場です。日本のアニメファンは作画に慣れ親しんでいるので、その市場ではセルルックが一番適切だということですね。将来世界で勝負する時に、本当にセルルックがいいのか、もっと新しい表現がいいのかは考えていきたいです。

 一口にセルルックと言ってもずいぶん変わってきました。今までにサンジゲンが制作してきた作品と『バンドリ!』を比べるとわかると思います。今までは、作画アニメに近づける努力を相当しました。でも今回は、経験を積み重ね、ノウハウも蓄積しているので、日本のアニメに見えるということをクリアしていれば、もっと新しいことも試していいんじゃないかと思い、質感も入れているし、動きもコマ数を増やしたりしています。

      

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