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アニメ『BanG Dream! 2nd Season』、なぜフル3DCGに? サンジゲン松浦氏に聞く“アニメ表現の多様性”

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人間らしさを描くことに挑戦する意義

 

――『バンドリ!』はサンジゲンさんの元請けのアニメとして、初めてSFではない作品になりますね。

松浦:ある意味SFですけどね(笑)。

――確かに(ハロハピのライブシーンがある)#4はSFだったかもしれません(笑)。SFではないことで、今までとは違う難しさはあるのでしょうか。例えば日常芝居を作るのは難しいとCGアニメーターの方はよくおっしゃいますが、この作品は日常芝居も重要な要素だと思います。

松浦:僕が『バンドリ!』でやりたいと思ったのは、ちゃんと日常を描くことです。これは感覚的な話ですが、ファンの方は人間ドラマやキャラクターの日常を観たいんですよね。サンジゲンが過去に制作した作品で例をあげると、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』は完全にSFで、ヒロインのキャラクターが、人間性を獲得していくというお話で、、動きが最初のうちは多少固かったのですが、ストーリーと共にスタッフも成長していきました。そのノウハウを活かして、『バンドリ!』の登場キャラクターの高校生らしさ、人間らしさをちゃんと描いて評価されることは、サンジゲンの将来にとって重要だと思ったんです。

――実際違和感はあまり感じません。MVを先に作られていて、それを観ていたということも大きいのかもしれません。

松浦:そうですね。「Roselia」のMV「Neo-Aspect」を最初に作りましたけど、あれをお客さんに観てもらって、サンジゲンで作る『バンドリ!』に慣れてほしかったんです。

――MVと同じ感覚でシームレスにアニメも観られる感覚が確かにあります。MVもアニメも演奏シーンの実在感が素晴らしいですが、どんな点にこだわりましたか。

松浦:重要なのは演奏している「らしさ」だと考えています。キャラクターはデフォルメされているわけですから、演技にもデフォルメが必要ですけど、現実離れしても「らしさ」の共感は得られません。そういう意味で言うと、世界観が確立している「Pastel*Palettes」や「Roselia」、「ハロー、ハッピーワールド!」よりも、等身大の「Afterglow」のリアリティは難しかったと思います。もっと言うと「Poppin’Party」はさらに等身大の存在ですから一番難しいと思いますね。

これからのCGアニメはどうなる?

――監督は柿本広大さんですが、CGに詳しい方ということで声をかけたのですか。

松浦:柿本くんには僕が声をかけたんですが、最初に彼と一緒にやったのは『009 RE:CYBORG』の時でした。その後『アルペジオ』にも参加してもらいました。、一緒に作品を創ってきたという積み重ねがあるからこその理解や信頼があるので、サンジゲンと親和性が高いですね。本人もベース経験者なので、ドンピシャの人選だったと思います。

――3DCGに詳しい監督とそうでない方とでは、演出にも違いが出るものでしょうか。

松浦:監督がCGを知っている場合は、直接指示できたり、リテイクできたりするので、こちらがより大変になることもあります。作画は一回描いてもらったら、そうそうリテイクできないので、最低限クリアしてほしいやり方でやりますから、そういう意識の違いがコンテに出たりすることはあるかもしれません。

 でもアウトプットするものは同じアニメなので、それほど大きな違いはないですね。素材の発注のタイミングなどが作画とは違うなど、作り方のプロセスの違いはあります。例えば、CG作品は今ほとんどプレスコですし。先に声を録ってその声のテンションに合わせて芝居を作れる利点はあります。

――その方がやはり良い芝居が作れるものですか。

松浦:突き詰めるとこれも良し悪しだと思いますが、今はその方が良いと思っています。口の開き方やテンションなどは、コンテに書かれている絵やテキストだけではわからない部分もあります。その情報だけで動きをつけていくと、口の開きが抑え気味になったり、反対に開き過ぎたりしてしまいます。、そうなると、声の演技とキャラクターの動きが噛み合わず、観ている方は違和感を覚えますから。プレスコなら声の芝居に合わせて口の大きさを変えられるので、そこは大きいですね。

――口の動きもリアルに合わせて作ることもしやすいのかなと思いますが、そこまでやるとかえって不自然に見えてしまうでしょうか。

松浦:母音の口の形などですよね。それは日本のアニメ市場の中では慣れていないものなので、逆に気持ち悪く感じるのでやらないだけです。今後は変わっていくかもしれませんけどね。海外の作品なら、そこも合わせていかないと観てもらえませんし。昔、カナダのCGアニメーションの仕事をした時、リップシンクされたデータを見て、なんでそこまで合わせる必要があるんだと聞いたら、「日本人は目を見て会話するけど、海外では唇を見るからだ」と言われて、ちょっと納得しましたね。そういう文化の違いから来ている面もあると思います。

――海外の話も出ましたが、セルルックではない作品も手がけ始めていますね。

松浦:僕も携わっている関連会社ではセミリアル系の作品を作っています。

サンジゲンは現在、日本に4拠点を構える一大勢力となっている

――世界市場を考えると、やはりセミリアル系の作品も必要であると。

松浦:僕もこのことについて考えているんですが、リアルって世界共通ですよね。例えば、リアルな水といえばこういうものだという共通認識がありますけど、セルアニメの水というのはまた独特なわけです。

――しかし、リアル一辺倒だと、アニメーションとしての表現の多様性が閉じてしまうかもしれないので、セルルックはじめいろんなアニメーションがあってほしいなと思います。

松浦:それは僕も本当にそう思います。日本のアニメのタメ・ツメとか誇張表現などは、セミリアルな作品でも取り入れられていますし、僕らも世界市場に挑戦するうえで、どんなものが受けるかなど、物語も含めて研究しているところです。

(取材・文=杉本穂高/撮影=林直幸)

(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved.

■アニメ情報
『BanG Dream! 2nd Season』
2019年1月よりTOKYO MXほかで放送中
オープニング曲:Roselia「BRAVE JEWEL」/ Poppin’Party「キズナミュージック♪」
アニメ公式サイト
公式サイト
公式Twitter
YouTube「バンドリちゃんねる☆」

      

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