映画化発表の『ドラゴンクエストV』はなぜ魅力的? “結婚”など世代を超える重厚な物語を振り返る

RPG史上に残る結婚イベント

スマホ版『ドラゴンクエストV』プロモ映像より

 おそらく『ドラゴンクエストV』で最も話題に上がるであろうイベント、それがストーリー中盤で訪れる結婚イベントである。プレイヤーは「ビアンカ」と「フローラ」という花嫁候補の中から、妻となるキャラクターを選び出さなければならない。ストーリーにも大きく変化をもたらすので、なおさら悩みに悩んで妻をめとることになるはずだ。

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 主人公と幼少期を共に過ごし、離れ離れの期間も一途に好意を抱き続けたビアンカ。大富豪の娘でお嬢様気質ながらも、包容力と芯の強さを合わせ持つフローラ。両人とも魅力的なキャラクターであるため、『ドラゴンクエストV』をプレイしたユーザーが集えば、ビアンカ派とフローラ派で議論になることもしばしば。リメイク版で登場する新たな花嫁候補「デボラ」を含めるとなれば、更なる論争へ発展することも珍しくない。ゲーム中に見られるイベントの一種とは言え、長期間に渡り大きなトピックとして扱われているのは、良い意味で驚きである。

 筆者の個人的な意見となるが、結婚イベントはプレイするユーザーの年齢や人生経験に応じて受ける印象が違うのではないだろうか。初回プレイ時は「結婚するのはビアンカでいいや」と何となく進めていたユーザーも、現実世界で結婚や子供の誕生といった経験を積むと、再プレイ時はキャラクターの思いやバックボーンに共感し、様々な感情を抱いて花嫁候補を選択することになるはずだ。何気なく遊んでいるだけでは見えない奥深さこそ、結婚イベントの本質的な魅力と言える。

 本稿では2つの魅力にフォーカスしたが、冒頭でも述べた通り、ゲーム作品に感じる魅力は人それぞれである。現在ではニンテンドーDSやスマートフォンアプリにて移植版がリリースされているので、気になる方はこの機会にチェックしてみてはいかがだろうか。天空の勇者になるのは今からでも遅くはない。

■龍田優貴
ゲームの尻を追いかけまわすフリーライター。時代やテクノロジーと共に移り変わるゲームカルチャーに目が無い好事家。『アプリゲット』『財経新聞』などで執筆。個人的なオールタイムベストゲームは「ファミコン探偵倶楽部」シリーズ。
Twitter:@yuki_365bit

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