吉本新喜劇と吉本坂46とSHOWROOMの架け橋にーー小寺真理が考える“新しい芸人の形”

吉本新喜劇&吉本坂 小寺真理インタビュー

小寺が新喜劇に起こした“革命”

ーーこれまでで一番リスナーさんに「教えられたな」と思った瞬間は?

小寺:初めて参加したイベントですね。それまでは軽い気持ちで毎日配信してただけなんですけど、ある日「渋谷の大きい看板に出れるかもしれないイベントがあるから、参加してみたら?」ってリスナーさんから教えてもらって、興味本位で参加してみたんです。1日2日やったら1位になって、そこから自分のスケジュール感で配信してたんですけど、最後の3日で一気に抜かれてしまって。「何これ!」ってショックを受けてたら、今の軸になってくれてるリスナーさんが現れて、「絶対3時まで配信する」とか「忙しくても1日15分はやる」とか「配信の時間はちゃんとスケジュールを組んで、前もって教える」「星集めの時間も計算しないとダメ」というイベントでの勝ち方を教えてもらって、一気に意識が変わりました。

ーーリスナーさんが、『SHOWROOM』ならではの戦い方を教えてくれたと。でも、そういう“戦い”はイベントのときだけで、普段はリラックスした配信も多いですよね。

小寺:そうですね。忙しいのをわかってくれて「映像とかもなくていいから、適当な配信でも大丈夫!」って声をかけてくれたり、一緒になって部屋を作ってくれているんです。

ーー自分だけの部屋だったはずのものが、だんだん人も増えて、自分だけのものじゃなくなってきてる感覚があるんですか。

小寺:本当に私がやってることといったら、時間を予告してその通りに配信するぐらいなので。あとはもうみなさんにお任せ(笑)。あとは、自分がやりたいことを一緒に叶えてくれたりもしますよ。「ラジオをやりたい」という目標を話したら、「じゃあここでラジオみたいなコーナーを作ろう」って提案してくれて、実際にやってたらMBSさんからラジオのお誘いがあったんです。『SHOWROOM』での企画が吉本の社員さんの耳に入ったみたいで。ちょうど『SHOWROOM』とラジオをコラボさせようと言っている時期だったので、私の名前を挙げてくださったそうなんです。

ーーそういう時に名前が挙がってくるようになっただけでも、十分成果がでてるといえます。

小寺:ホントですよね! しかも、同時に前田裕二さんの『SHOWROOM主義』(TOKYO FM)に出られるイベントにも参加していて、ほぼ同時に2番組が決まるという嬉しい誤算もありました。

ーー前田さんとハヤカワ五味さんと共演した回ですね。

小寺:2人とも文化人なので、私にはわからない単語が飛び交っていて。携帯も手元になかったからその場で調べられなくてパニックになってたんですけど、前田さんがそれを察して解説しながら話してくれるようになって。懐の広い方だなと改めて思い知らされました。

ーー逆に、『SHOWROOM』での活動が新喜劇に活きたことはありますか?

小寺:あります! 大きい仕事を『SHOWROOM』でいただく度に、座員のみんなが「次はあれに出るんやろ?」って知ってくれていて。みんなも「こんなやり方があるんや!」と気づいたみたいで、一番若手の女性座員は、全員『SHOWROOM』をやることになったんですよ。

ーー新喜劇に革命を起こしているじゃないですか。

小寺:そうやったらいいんですけど。「吉本新喜劇」って名乗ってやるからには先輩とのエピソードトークも求められますし、結構大変やなと思うんですけど、意外と抵抗ないんですよね。そういう世代ってことかもしれないですね。

ーー確かにSNS慣れしてる世代だと、配信に抵抗はなさそうですね。

小寺:上の方たちはどうしても抵抗があるんですけど、私が楽屋で配信してるときには、パッと一緒に入ってくださるんです。最近は吉本坂のレッスン合間に配信することも多いですね。この間も大阪でダンスの練習をトットの多田(智佑)さんとやってたんですけど、その合間に汗だくで配信してたり(笑)。

ーーああ、それは見てました。

小寺:私、結構マジメなので「こういうときのギフティングは半々にしたほうがいいのかな……」みたいな心配をずっとしているんですけど(笑)。

ーーなかなかそこまで考える人はいないような。

小寺:吉本芸人はお金のことを気にしがちなので……。とはいえ、そこを収益にしてどうこうしようとは思ってないんです。若手の子から「小寺さんは『SHOWROOM』だけで生計立ててるんですよね?」とか、「イベントの最終日にタワーが立ち過ぎて、小寺さんの下に街が出来てた」って言われたことがあるので、念の為に言っておきます(笑)。

ーーそうやって言われるくらい、チェックされる存在になったということですね。

小寺:ありがたいことです。お笑い枠はアイドルさんや声優さんに比べたらまだまだ弱いし、イベントに対してがっつり取り組んでる人も少ないこともあって、「圧勝になるからイベントに出ないでほしい」と言われたこともあります(笑)。『SHOWROOM』としては強くしていきたいジャンルらしいんですけど、芸人は照れ屋さんも多いし、投げ銭をもらうスタイルも定着してないし、「芸人だから面白いことをしないといけない」というスタンスも強くあって、なかなか配信に踏み切れる人がいないんだと思います。

ーー今お話いただいたようなことを、後輩から相談されることはありますか?

小寺:劇場でやってる方は少ないんですけど、新喜劇の若手からは聞かれるようになりました。でも、私はただただ運良く吉本坂のオーディションという大きなタイミングがあっただけで、テクニックどうこうって話じゃないと思うんですよね。そんななかでも「しっかりコメントを読むこと」は大事にしてね、と伝えています。「今日1日どんなことがあったの?」って聞いてくる人が1人はいてくれるので、自分の話もするんですけど、「今日は歯医者に行ってきたよ」とか「明日病院行くんです」とか……私のルームのリスナーさんは年齢層が高いから、病院に行く人が多いんですけど(笑)。そこに対して丁寧に反応することで会話も生まれるし、関係性ができてくれば反射的に返すだけも楽しんでくれますから。あとは「背景を綺麗にしてる?」というのも結構言ってる気がします。

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