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亀田誠治、蔦谷好位置らが語る“ストリーミング時代におけるJ-POPの世界戦略”

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 J-POPの最前線で活躍する音楽プロデューサーの亀田誠治と蔦谷好位置、そしてデジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ、エンターテック・アクセラレーターの鈴木貴歩の4名が、「J-POPの世界戦略」というテーマで意見を交わし合う――そんな興味深いトークセッションが、9月29日〜30日に六本木ヒルズで開催されたテクノロジーと音楽のフェスティバル『J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2018 Supported by CHINTAI』で開催されていた。CDからダウンロード、そしてストリーミングの時代へ。音楽の「聴き方」がドラスティックに変化を遂げつつある現在、J-POPのアーティストとその関係者たちは、何を意識しながら音楽を生み出し、それをどのように広めていくべきなのか。以下、その内容をレポートする。

 まずは、司会進行を務める鈴木が、「J-POPの世界戦略」を考える上での前提となる、世界の音楽市場の変化について改めて解説。そのなかでも最も重要なのは、ストリーミングの普及による市場の変化――すなわち、CDからストリーミングへという音楽の「聴き方」の変化である。さらに加えて、ストリーミングの普及によってV字回復を遂げたアメリカの音楽産業のように、「単にストリーミングへと切り替わっていくだけではなく、全体のマーケットが増えている」ことが重要であると亀田が指摘。そして、「世界を狙うという意味で、ストリーミングというプラットフォームは、もはや欠かせないものになっている」ということを、登壇者全員のあいだで改めて確認した。

 以降、トークセッションは、その具体的な方策を「クリエイティブ戦略」「マーケティング戦略」「人材・組織戦略」という3つの観点から考察していく。まずは、ストリーミングの普及がもたらした、クリエイティブの変化について。蔦谷は、「海外の人たちは、ストリーミングでの再生回数を稼ぎたいから、曲がどんどん短くなっていて、最近は2分台の曲も多くなった」と、曲の長さが変化しつつあることを指摘。一方、亀田は、ストリーミングの登場によって「世界と地続きになった」ことが、何よりも大きいと語った。さらに、「地続きというのは、国境を超えるという意味だけではなく、時代も自由に行き来できるようになった」と、新譜と旧譜がフラットに並ぶストリーミングならではの特性を指摘し、「それは、これからのアーティストやクリエイターにとって、ものすごい強力な栄養素になっていくのではないか」と推測した。

 続いて蔦谷は、ストリーミングの時代になって、もはや海外では当たり前のように行われている「共作(コライト)」についても言及。「日本は、“人”で音楽を聴いている印象がすごく強い」と発言した。それを受けて亀田は、エド・シーランの楽曲が、ほとんど複数名によるコライトであることを例に挙げながら、「エド・シーランが作詞作曲をしているから、世界の人が彼の音楽に感動しているわけではない。音楽は、あくまでも“音楽”を軸として作られ、聴かれており、“人”で聴くという日本の聴き方とは、大きな隔たりがある」と語った。さらに蔦谷は、「編曲」という日本ならではの曖昧な表記についても言及。「メロディを作る人だけではなく、編曲する人も曲を作っている」。作り手と聴き手の双方が、それぞれ意識を変えていく必要性があるのではないかと自身の見解を述べた。

 続いて鈴木は、つい先日、某大物アーティストの楽曲がストリーミング解禁された事例を挙げながら、ストリーミングの浸透とその理解の深まりを受けて「今の時代、どのように音楽をプロモーションしていくべきか?」を、マーケティングの観点から登壇者に問い掛ける。亀田、蔦谷、コウガミの3者とも、大物アーティストが自身の音源をストリーミングで解禁することについては、概ね好意的に受け止めながら、そのプロモーションについては、まだまだ課題が多いと指摘する。亀田は、「大物アーティストのストリーミング解禁こそ、ストリーミングを利用していない層にアピールすべきだった」、「この機会にストリーミングの利用方法をレクチャーするくらい、ドラスティックなアクションを起こしても良かったのでは?」と感想を述べた。それについては、コウガミも同意する。「解禁するだけではなく、その見せ方も大事。ただ解禁するだけでは、それぞれのプラットフォームのユーザーにしか届かず、それ以外の人たちに届けられない。より多くの人に知ってもらうキャッチポイントが、まだまだ日本では必要なのでは?」と自身の考えを述べた。

 さらに蔦谷は、他国に比べて日本におけるストリーミングの普及スピードが遅いことの背景として、そもそも音楽の国内需要が多く、CDを中心とした自国完結型のビジネスができあがっており、それが先細りになった現在も、言わば椅子取りゲームのように席の奪い合いをしていて、海外の人たちのような「フロンティア精神」に欠けるのではないかと指摘。「とりわけ韓国は、自国の市場が小さいがゆえに、最初から世界を見据えている。自国ではなく海外に、自分たちが座る新しい椅子を作ろうとしている。その意識が日本は薄く、まだ何とかなるだろうという意識の人も多いのではないか。そこを変えていかないと、世界の流れには乗っていけない」と語った。

      

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