DE DE MOUSE × KAGURAのパフォーマンスが示した、AR楽器の可能性 「イノフェス2018」レポ

「DE DE MOUSE feat. KAGURA」レポ

 FMラジオ局J-WAVEと筑波大学が共催するテクノロジーと音楽のフェスティバル『J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2018 Supported by CHINTAI』が、9月29日〜30日に六本木ヒルズで開催された。

 「INNOVATION WORLD FESTA」通称「イノフェス」は2016年からスタートしたフェスティバルで、今年はJ-WAVE開局30周年を記念して、ミュージックプロデューサーにm-flo/PKCZ@のVERBAL、テクノロジープロデューサーに落合陽一を迎え、豪華クリエイター&アーティストが多数出演した。本稿では、30日に行われた音楽×テクノロジーのパフォーマンス「DE DE MOUSE feat. KAGURA」を中心にレポートする。

 30日は台風直撃ということもあり、アリーナステージが閉鎖され、スケジュールが大幅変更するという予想外のアクシデントに見舞われるも、会場には最新テクノロジーを体感しに多くの観客が訪れていた。20時には首都圏のJRがストップするというタイムリミットが迫る中、17時からはイベント最後のパフォーマンスとして「DE DE MOUSE feat. KAGURA」が行われ、台風を吹き飛ばすかのごとく、DE DE MOUSEの楽しいパフォーマンスで大いに盛り上がり、会場となった「TDK イノフェス・メディアカフェ」がクラブと化した。


 DE DE MOUSEは、遠藤大介によるソロプロジェクトだ。作曲家/編曲家/プロデューサー/キーボディスト/DJとして、自身の曲のプログラミングやミックス/マスタリングを行うのはもちろん、映像表現にも携わるなど、多方面で才能を発揮している。今回「イノフェス」では、AR楽器アプリケーション「KAGURA」を使ったパフォーマンスを披露。KAGURAは、パソコンとWebカメラだけで演奏ができるもので、MIDIにも対応し、ドラッグアンドドロップで画面上にアイコンと音を配置し、AR技術を使って何も触れずに体の動きで演奏ができる、ライブパフォーマンスに適したAR楽器の音楽ソフトウェアである。


 大型スクリーンを背景に、ステージ上には向かって左にキーボード、正面にKAGURA、右側にPCやミキサーなどの機材に囲まれる形でプレイをするDE DE MOUSE。写真、動画撮影自由という気前の良さに加えて、台風でどんどん電車がなくなることをネタに笑いを誘うというフランクなステージで、曇天とは裏腹に会場は温かな雰囲気に包まれる。「基本テクノロジーも、人間の熱い心と体が盛り上げていくから。僕がバカみたいに盛り上げていくから、みんな盛り上がって!」と、飛び跳ねながら笑顔で行うパフォーマンスに、観客も総立ちで踊り出し、序盤から早くも大いに盛り上がる。サンプリングボイスを再構築し、メロディがカットアップされたDE DE MOUSEサウンドが、ファンタジックで楽しい空間を作り出す。

 そして、最後の1曲にいよいよKAGURAが登場。「ここからはイノフェスという感じなので、全然撮ってもらって、ここはもう踊らなくていいです。ここからはもうテクノロジーなので、刮目せよ!って感じ。動画に撮って、アップロードするんです! 『DE DE MOUSEとKAGURA最高』とか、『台風の中行って良かった』とか、『ほんとにマジもっと見たい』とか。で、帰ってからSpotifyで聴いてください」と言ってからプレイ開始。


 背景のモニターには、"SOUND"、"ON"、"DJ!"、"CLAP"などの文字が書かれたアイコンがいくつか映し出され、左端に音量のメーターがあり、そこにはカメラで本人も映し出されている。モニターや楽器を触らずに、アイコンが表示しれている位置(空間
)を叩くと、その音が出る仕組みだ。なので踊りながら、ポーズを決めながら、パンチを繰り出しながら演奏ができる。音量は、表示のメーターに手をかざしたところで調整されるので、プレイヤーの動きだけを見ていると、どこかテルミンを演奏している様子とも似ている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる