イーロン・マスクもページ削除 拡大するフェイスブック情報流出騒動のポイントを読む
ブレグジットとアメリカ大統領選挙への影響
いまだに世界を分断する政治トピックとして君臨しているブレグジットとアメリカ大統領選挙。昨年からフェイクニュースの影響が大きく報道されてきたこともあり、「Facebookからのデータが政治キャンペーン=プロパガンダに利用された」という主張にはかなりのインパクトがある。トランプの大統領選挙キャンペーンでは「Global Science Researchからのデータは利用しなかった」とケンブリッジ・アナリティカは語っている。イギリス当局による捜査も進められており、ケンブリッジ・アナリティカで働いていたChristopher Wylieが内部情報の告発を英国議会でも行っている。彼によると、ブレグジットの結果にも影響を与えた可能性がある、とのことだ。
しかし政治コンサルとしてのケンブリッジ・アナリティカの評判は低いようだ。値段に見合った価値を提供できない、これまでのクライアントは多くが不満を抱えていた、という声がたくさん出てきている。5000万人の不正入手データはあっても、それを使ってどこまでケンブリッジ・アナリティカが影響力を行使できたかはきちんと見極める必要がある。しかし「もしかしたらトランプが大統領になっていなかったかも...」「もしかしたらイギリスがまだEUに留まっていたかも...」と想像を掻き立てられるニュースであることも、この騒動にさらに注目を集めている。
#DeleteFacebookの日本への広がり
以上の流れから分かるように、#DeleteFacebookの動きはユーザーにとっては自分のデータ・プライバシーを保護するためのアクション、兼抗議活動となっており、企業がFacebookページを削除する動きはどちらかと言うと「Facebookのプライバシーに関するスタンスには同意できない」という企業のPR的な側面が強い(イーロン・マスクもTwitter上でユーザーに提案されてやった、という経緯だ)。ビジョンで消費者をひきつけるシリコンバレーのテック企業ならまだしも、今後日本企業がFacebookページを削除し始めることはないだろう。
■塚本 紺
ニューヨーク在住、翻訳家・ジャーナリスト。テック、政治、エンタメの分野にまたがる社会現象を中心に執筆。
参加媒体にはDigiday、ギズモード、Fuze、GetNavi Webなどがある。
Twitter:@Tsukamoto_Kon