魚介類が光線を打つ異色シューティング『ACE OF SEAFOOD』に受け継がれた精神

『ACE OF SEAFOOD』はあの名作だった?

 『エースコンバット』をプレイしたことがある人はわかるだろうが、このゲームでは常に画面にHUDの表示が出ている。これを見ることで機体の傾きや上下の方向、高度やロックオンしている敵がわかるのだが、『ACE OF SEAFOOD』でもこのHUDっぽい表示が出っ放しである。しかも編隊(魚群だけど)を組んで泳ぎまわり、局面に応じて散開させたりするも効果があるのかないのか微妙にわかりづらいこの感じは『エースコンバット5』の僚機が頼りになるかどうか微妙だったあの雰囲気! いやあ懐かしい。

(C)Nussoft, Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.

 よくよく考えれば、飛行機も魚も「流体の中を移動する」という点は共通している。宮崎駿監督の『風立ちぬ』では、堀越二郎が魚(多分鯖の煮たやつだったと思う)の骨の形状に感心して、マジマジと眺める場面があった。堀越は零戦の設計主務を務めた男であり、宮崎駿は飛行機について(飛行機だけではないけど)偏執狂的な知識を持つ監督である。そんな作品で、キーアイテムとして登場する「魚の骨」……。『ACE OF SEAFOOD』の雰囲気が飛行機を操縦するゲームに似てくるのは、零戦のそのまた前の九試単戦が作られるあたりから当然のことだったのだ。流体力学恐るべし。

 かつて第一次大戦のエースパイロットであるマンフレート・フォン・リヒトホーフェンは「空を飛び、敵を見つけ、撃墜する。後はくだらぬことだ」という名言を残した。『ACE OF SEAFOOD』でもこの精神は引き継がれている。過酷な海の戦いを戦闘機さながらに飛び回り、敵を見つけて撃墜する。魚介類のエース、海のリヒトホーフェンを目指す以上、それ以外はくだらぬことなのである。

■しげる
ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

■商品情報
『ACE OF SEAFOOD』
価格:1,180円(税込み)
公式サイト:http://www.neoaq.net/aceofseafood/
スウィッチ版ダウンロードページ:https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000002964
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