見上愛✕上坂樹里、“りんと直美”を生きた1年を振り返る 「2人だから乗り越えられた」

見上愛✕上坂樹里、互いへの感謝を語る

見上愛が振り返る“りんとシマケン”の関係

――続いて劇中の印象的なシーンについてお伺いします。第116話でりんとシマケンが再会するシーンがありましたが、どのようなお気持ちで演じられましたか?

見上:シマケンさんが訪ねてきて、7年ぶりに再会したシーンですね。自分でもどんな表情をしているのか分からないくらい、何とも言えない気まずさがありました。それと同時に「生きててよかった」という安心感や、「そもそも、なんでいなくなったんだろう?」という疑問もあって。これまで自分の中で蓋をしてきた思いが、一気に頭の中を駆け巡る感覚でした。あの時代は今のような手軽な連絡手段がないので、何年も経てば「もう交わらない人生なんだ」と整理がついていたはずなんです。それなのに、いざ話してみると、気まずさの中にあの頃の思いや、恋愛感情とはまた別の「思いやる気持ち」が出てきたなと感じています。今後、また二人の関係性にも変化が生まれますので、最後まで注目してほしいです。

――視聴者の中には、シマケンより虎太郎(小林虎之介)派だという声も出てくるなど、虎太郎との関係性に注目している方も多かったと思いますが、幼なじみの虎太郎の存在は、りんの中でどのように変化していったのでしょうか?

見上:最初は初恋の人でしたが、りんはすぐに結婚してしまって環もいて、家族の生活のためにも「自分が恋をする」という発想がしばらくなかったんです。一方の虎太郎は、再会した時には上昇志向が強くなっていて、「努力次第で今より上を目指せる」という発想を持ち始めていて、昔のようにおっとりとしていて、人と比べるような感覚を持たない虎太郎ではなくなっていて。そのあたりですでにりんとの間にズレが生じていました。でも、戦争から帰ってきた虎太郎は、戦争で傷ついた経験があったからこそ、「上へ上へと目指すこと」が一番大事なことではなかったんだと気づいたんだと思います。なのでりんとしては、恋愛としてではなく、純粋に昔の虎太郎の心に戻っていっていることがすごく安心しましたし、うれしかったんだと思います。

――物語の終盤を彩るキャストとして、相田翔子さん、太田光さんというベテラン俳優の方々とも共演されましたが、印象はいかがでしたか?

見上:相田翔子さんは、すごくかわいらしくて品のある方でした。病を抱えながら、自分にできることが減っていく恐怖や迷いを持ちつつも、どうしたら自分の人生が豊かになるのかを模索する姿が、相田さんが演じられたことでよりリアルな説得力を持って生み出されたと思います。

上坂:太田さんは、すごく朗らかで、控え室でもずっとお話してくださるような心地の良い方でした。でも、太田さん演じる平蔵さんと出会い、「体は弱いけど弱い人間じゃない」と核心をつかれて、直美がやりたかった看護は「もしかしたら綺麗ごとだったのかもしれない」と気づかされるんです。看護とは何かという原点に戻るきっかけをくれる重要な存在でした。

クランクアップ後も「寂しいよ!」

――“看護”という仕事に対する理解や見え方に変化があったのでしょうか?

見上:撮影に入る前や、撮影の序盤は「技術職」という印象が強かったのですが、実際に看護師の方からお話を伺う中で、すごく「心を使うお仕事」なんだなと印象が変わりました。マニュアルがない中で、患者さんがどうすれば前向きに生きられるかを考え続ける。看護師は病気は治せなくても、これからの人生をより良く生きられるように寄り添う職業だということが分かりました。

上坂:私も、正解がなくても考え、向き合い続けることの過程が患者さんのためになるのかもしれない。だからこそ、誰かの人生に寄り添って生きることが大事なんだと直美を通して実感しました。実際に、現役の看護師さんから「りんちゃんや直美ちゃんが頑張っているのを観て、ずっとやりたかった訪問看護の道に進むことにしました」という声をいただいて、作品を通して背中を押すきっかけになったことは、すごく幸せなことでした。

――すべてを終えられた今、クランクイン前の自分にアドバイスをするとしたら、どんな言葉をかけますか?

上坂:私は「頼れる人がたくさんいるから大丈夫だよ」と言ってあげたいです。撮影前は「いろんなものを背負わなきゃ」と過剰に思い込んでいたのですが、自分が不得意なことは得意な人が補ってくれる経験をいっぱいしたので、「一人で抱え込まず、いろんな人の胸を借りるつもりで飛び込んで!」と教えたいです。

見上:「死ぬ気で頑張れ!」です(笑)。何か大きなものを終えて、心にぽっかり穴が空いたような寂しさもあるけれど、やりきった達成感も混ざっている不思議な感覚なので、まずはゆったりと「何もしないこと」を満喫したいです。

――最後に、今回の朝ドラでの経験は、今後の俳優人生にどのような影響を与えそうですか?

見上:1年間を通して「りん」という一つの役の人生に向き合い続けたので、りんの思考回路や強さ、柔軟さに、今後助けられる瞬間がいずれ来るかもしれないなと思っています。

上坂:この直美という役に出会えたこと、そして1年間たくさんの方に支えてもらってこの経験ができたことは、間違いなく今後の財産になります。お仕事でも、そうでない人生の壁にぶつかったときでも、この1年間がこれからの私を支えてくれると確信しています。

見上:……とはいえ、今後のことはまだあまり考えられなくて(笑)。なぜか私だけ、今は本当に終わった実感が湧いていないんです。一人だけ取り残されてる気分で。(上坂に)寂しいよ!(笑)。

上坂:もちろん私も寂しいです(笑)。

見上:そうだよね(笑)。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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